2015年06月13日

魚道 〜長良川河口堰 運用開始20年

シリーズ 現場探訪 ルポルタージュ中部
「魚道 〜長良川河口堰 運用開始20年〜」
6月12日(金)午後8:00〜8:43・NHK


 見ごたえのある番組であった。河口堰は長良川を破壊するものであった。中流・上流は世界農業遺産として認定を受けるための自然は守られたかのように見える。
 しかし、河口堰を含む下流地区は、世界農業遺産として認定からは除外されている。
それどころか、川の流れはよどみ、かつて鮎の産地であった面影はなくなってしまった。
 川漁師はじめ関係者は、漁獲量が激減したと怒り、嘆く。
 
 豊かな自然の営みは壊され、さらに、川漁師などの人々の生活基盤は奪われた。河口堰がなければ、長良川下流地区でさぞ、うまい鮎や川魚の料理が食べれただろうと思った。周辺の町は、今とは別の姿をしていただろうと思う。
 
 父から受け継いだ川漁師の技術を持つ二人の老兄弟は、豊かさのなくなった下流地区で細々と生活をしながら、「鮎が魚道の存在なんか分かるものか。鮎が字でも読めるものと思っているのか」と静かに怒りを込めて語る。

 地元で河口堰反対の運動は盛り上がり、二人の老兄弟の父は2万6千人もの反対署名を集めたが、国は署名本人確認を証明せよと迫り、証明のためには財政的に困難となり、さらに札束で懐柔し、運動を挫折させた。
  
 沖縄の基地建設でも、原発でも、札束で解決するという汚い手を使うということが指摘された。 同感である。人間にとって大切な自然を守るという観点がない、また、人間の生活を大切にするという観点がない。

 一度破壊してしまった長良川は元に戻すことは簡単ではないことがこの番組で知らされた。河口堰維持のための財政的な負担も大きい。愛知県民などの負担だ。
河口堰建設の理由である、治水、利水という観点は今は通用しないということも明らかだ。

 高度成長期の公共事業のために、長良川は犠牲になってしまった。後世に大きな荷物を残してしまった。
 長良川の下流の清流をもどすためにこれからどんなことをするのだろうか?

 私たちは、何を後世の子孫に残すかということを大切に考える必要がある。
 
 日常生活で、子育ての知恵ということにおいても、貴重な知恵というものが積み上げられている。子育ての知恵という平凡なものであるが、誰も教えてくれるものではない。対人関係の知恵というものでも分かっているようでわかっていない。子育ての知恵も後世に残す貴重な遺産である。

 今、存在が問われている、日本の憲法も、特に、九条も世界遺産にしようとしている。後世の残す遺産である。
 
 さて、かつて徳島へ学会で行ったとき、徳島在住の知人から四万十川の河口堰反対運動のことを聞いた。知人は、四万十川の清流を守ったという自負を持っていた。大変な運動であったようだ。改めて、四万十川の運動の大切さをかみしめる。
 
 ありのままの自然を守ることが大変な世の中になってしまった。四万十川の清流は有名である。大切なものを守ったということだ。いつか四万十川に行きたい。日本のすばらしい財産だ。
posted by 花井英男 at 10:08| 自然