2022年02月05日

「こころの時代」「裏も表も我が人生

NHKの「こころの時代」「裏も表も我が人生」
後藤文雄神父の人生

「ごっちゃん」という、東京吉祥寺のカトリックの神父の91年の人生を紹介する番組を見た。神父としての最後のミサを紹介した。良寛の俳句をもじって、俳句を紹介した。飄々としている。

「ごっちゃん」は、後藤文雄という名前、ここからくる。神父というイメージからは、想像できないイメージ。良寛さんと同じ新潟の生まれ。

 新潟長岡の浄土真宗の寺に生まれ、軍国少年として育ち、戦争で、母を失った。川の中で横たわっていた、匂いのする、母の死体をリヤカーで運んだ。母がなくなって、父が若い後妻を迎えた。父との衝突。東京へ出た。お寺の子として生まれたので、僧侶になるように育てられた。

 敗戦直後、上野で見た戦災孤児の姿に衝撃を受け、神父になった。洗礼を受けた時に、神父から、神父にならないかと言われた。

 聖書の言葉は全く出てこない。全く気張らない、偉そうに振舞わない、気さくなおじさんという感じ。聖書の言葉を話すわけでもない。

 NHKの番組紹介記事を引用します。

 「敗戦直後、上野で見た戦災孤児の姿に衝撃を受け、神父になった。その後、カンボジア難民の子供の里親となり、14人を育て、さらにカンボジア全土に19の学校を建設した。教育が平和と未来を作り上げる、と語る後藤の取り組みと、コロナ禍で自身の行く先を深く考える姿を見つめる。」

 カンボジアの戦争孤児たちには、教育が必要であると思い、学校を建設した。カンボジアの学校の映像を紹介した。子どもたちの前で、「ぞうさん、ぞうさん、お鼻が長いのね」の歌を歌う。

 カンボジアの子どもを沢山、里子として育てた。神父という仕事があるのに、よくもこんなことができたものだ。普通、神父としての仕事が精いっぱいだろう。カンボジアの子どもの里親を募集したが、誰も引き受け手が出なかった。自分がやろうと決意した。

 カンボジアの子供が学校で、「カンボジアから逃げてきたんだろう、カンボジアに帰れ」といういじめを受けた。

 すぐに学校に行って、担任の先生に話をして、ポルポトのことを話して、子どもに事情を説明してほしいと、頼んだ。先生が親切に対応してくれた、というエピソードも。


 後藤神父が、このような人がなかなかしないことをするバックボーンは何だろうか。
 出てきた言葉は、ヴィクトール・フランクルの著書「夜と霧」の3つの言葉、「創造的価値」、「体験的価値」、「態度的価値」だった。

 フランクルによれば人間が実現できる価値は創造価値、体験価値、態度価値の3つに分類される。

 創造価値とは、人間が行動したり何かを作ったりすることで実現される価値である。仕事をしたり、芸術作品を創作したりすることがこれに当たる。後藤神父がカンボジアで学校建設に貢献したのは、学校建設という創造的価値を作り出したこと。

 体験価値とは、人間が何かを体験することで実現される価値である。芸術を鑑賞したり、自然の美しさを体験したり、あるいは人を愛したりすることでこの価値は実現される。
後藤神父が、14人のカンボジアの子どもたちを育てたというのは、体験的価値だ。

 態度価値とは、人間が運命を受け止める態度によって実現される価値である。彼は、91歳になり、老いという向かい風に会い、日々衰えを感じる。これを運命として受け止めるしかない。

 この番組を見ていて、生きる勇気、もっと頑張ろうという気持ちがわいてきた。

  後藤文雄の本がネット上に出ていた。

 「今 ここに: 『十五歳の巡礼』を歩き終えたら」、

 「よし!学校をつくろう――神父ゴッちゃんの履歴書」、

 「カンボジア発ともに生きる世界―里子を育て支援を広げる神父の目から」










posted by 花井英男 at 15:55| 宗教

2020年08月16日

京都五山送り火中継2020

2020年8月16日7:30―9:00  NHKBS

京都五山送り火2020 中継


毎年、8月16日に行われる、京都五山送り火。

BS番組で見た。今年は、縮小した形の大文字焼きということだ。例年のものがなくなって、初めて、いつもはどういうものだ?と疑問がわいた。


京都の大文字焼は、5つから成り立っていることに気づいた。

大の字、妙法の妙の字と法の字、船形の模様、鳥居の模様。

盆に帰ってきた祖先をあの世に送り返すための宗教行事で、京都の市街地を囲む「大」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の五つの山に、地元保存会の人びとの手によって火が灯される。


私は、夕べ、7時過ぎに家族と一緒に、近くのお寺、大喜寺へ精霊(先祖様)「おしょろい様」(我が家の言葉)を送りに行った。

近隣の人たちが沢山毎年集まる。係をしている近所の人に挨拶した。久しぶりに大喜寺から家に帰る途中で、親しい人の家が住み変わっていたり、新しい家が建っていたり、建築工事が進んでいたりしていた。

街は変わりつつある。

送り火として燃やされる松割木に加え、無病息災を願って大勢の人々が毎年護摩木を奉納していますが、今年は護摩木の志納受付は中止とのこと。


「五山送り火」本来の意味とは、祈りの火という。
先祖を偲び、感謝し、現在、自分があるのを感謝し、平和を祈る気持ちです。コロナが一日も早くおさまってほしい気持ちです。






posted by 花井英男 at 21:31| 宗教

2020年04月18日

不知火の海に向かって立つ実生の森と野仏

NHK  こころの時代〜宗教・人生〜

「水俣 いのちの海のただなかで」

2020年4月18日(土)午後1時〜


「水俣で建具店を営む緒方正実さんと、叔父で漁師の緒方正人さん。不知火海の網元に生まれ育った2人の人生は水俣病と共にあった。正人さんは6歳で父の壮絶な死に直面し、正実さんは胎児性患者の妹と育った。

水俣病が「奇病」「伝染病」とされた時代。一族20人以上が水俣病におかされた緒方家は、水俣病の象徴的な存在とされた。不条理な苦難を強いられながらも、恨みや憎しみの先で生きる道を見出してきた2人の言葉を聞く。」

以上は、NHKの番組案内の文章の引用です。

お昼ごろに、家内から水俣の「こころの時代」を1時から見るといいよと言われた。この番組の流れは、次のようなものであったと思う。不正確な部分もあるかと思いますがお許しください。

水俣病の当事者らの窒素の会社、熊本県、国との認定を勝ち取るため闘いの歩み、なんと、10年以上の闘いであった。県との交渉、国との交渉の場面、窒素の会社との闘いの場面が出てきた。

水俣病の人たちの、また、魚を食べた猫の、のた打ち回り苦しむ姿の数々の紹介、二人の身内の苦しむ姿の紹介、憎しみ、恨みの気持ちからの出発、認定を取るための、県、国、窒素との闘い、二人の方の交渉のために作成した自筆の嘆願書の映像、交渉場面の怒号、淡々と訴える姿。


すばらしい女性県知事の謝罪と認定、和解の気持ち、汚れた魚を沢山のドラム缶に入れて埋め込む作業。埋め込んだ土地に、実生の森の公園の建設、公園に50か所以上の野仏の設置、今も続く野仏の設置。静かに海を見続ける野仏の姿。


平和を求める祈りの世界へ、実生の森からとれた木材から作ったこけし、「祈り」と刻んだこけしの配布。水俣を訪れる人への水俣病の語り部として活動は今も続く。


二人の当事者が紹介された。一人の人は、父親が窒素の毒に侵されて苦しんで亡くなった。一人は、自分の妹が窒素の被害者として亡くなった。150トンの害毒(工業廃水を無処理で水俣湾に排出していたため、これに含まれていたメチル水銀が魚介類の食物連鎖による)を不知火の海に流し続けたと紹介された。緒方さん一家のとる魚は売れなくなった。町の人から差別を受けた。これは苦しかった。仲間である人たちから差別を受けた。


安らぎを回復した。うれしい。再び、同じ過ちを繰り返してはいけない。安らぎと落ち着きをようやく回復した。うれしい。祈りの世界である。亡くなった人たちを忍び、過ちを繰り替えさない気持ち。


今、福島では、増え続ける汚染水に地元の人たちは、日本中の人は悩んでいる。不知火の海は復活した。今新たに、福島の原発の汚染水の処理の問題が出ている。人間は、何度、間違いを犯すのだろう。これも大企業の犯した公害だ。チェルノブイリを忘れない。





posted by 花井英男 at 21:07| 宗教