2021年09月11日

虐待被害者へのカウンセリング機関・医療機関の充実を

虐待被害者へのカウンセリング機関・医療機関の充実を


 先日、私のブログを見た、虐待被害者から電話を頂いた。虐待ドットネットの関係者と名乗られた。一般に、虐待経験者は、幼児期・児童期・青年期逆境経験者であると考えられます。

 医療機関にかかるまでに、いろいろな経過をたどられると思います。社会に出て、仕事をしておられた方もおられます。30代になって、PTSDを発症する方もおられます。医療機関にかかっておられ、快方に向かっておられる方もおられます。治療中の方もおられると思います。カウンセリングを受けたくてもうけられない方もおられると思います。

 私はブログの中で、とりあえず、医療機関にかかり、精神障碍者手帳をとるとか、自立支援医療制度を使うなどの福祉制度を活用することを提案しました。

医療費の負担について


障害者自立支援法の「自立支援医療制度(精神通院)」により、収入に応じて医療費を軽減することができます。医療機関で、ドクターとか、事務の担当者に相談しましょう。



 医師の診察を受け、精神療法を受け、処方箋を出してもらうことが大事だと思います。次に、その医療機関がカウンセリングを提供しているかどうかです。カウンセリングを提供している医療機関を探すことが大切だと思います。

 私設の相談機関の中には、虐待被害者のカウンセリングをしているところがあるかもしれません。確かに、このようなクライエントを受け入れるところは、少ないというのが実態です。健康保険証が使えないというのが現実です。


 カウンセラーの中には、全く無能で、「タダ沈黙だけで何の対応もしてくれなかった」と訴えられるクライエントがおられました。これが、日本のカウンセリング状況です。臨床心理士、公認心理師はこのような実態を把握し、カウンセリング技術能力を向上することが求められております。

私は、私の経験・研修の中からの成果を、関心を持つカウンセラーに、研修・訓練のサービスをする用意があります。関心のある方は、ご連絡ください。

 カウンセラーが自分の臨床技術、心理療法が役に立っているのかどうか、自ら認識し、技術の開拓、あるいは向上のために、努力をすることが求められています。大学院で学んだことは、ほんのごく一部であり、大学院を出てからの、継続研修が、そのカウンセラーの力量が決まると言ってもいいと思います。積極的に先輩カウンセラーの技術を受け継ぐことが求められてています。


 杉山登志朗先生(ウィキペヂア参照)が、かつて、「EMDR療法は、臨床心理士が皆、誰でもが習得すべき心理療法だ」と言われたことがあります。今、EMDRの講習を受けるのは、沢山の人が、待機中で、なかなか受講できないと聞いています。

 ブレインスポッティングの資格取得については、BTI-Jー「ブレインスポッティング・トレイニング・インスチチュート・ジャパン」のサイトを見て、研修案内を見られることをお勧めします。トラウマ治療の心理療法として、大変便利で素晴らしいなものだと思います。

 虐待被害者へのカウンセリングの方法には、どんなものがあるのか。
 私が現在施術している主な方法は、USPT統合法、ブレインスポッティング療法(BSP)、EMDR療法 、ボディコネクト療法(BCT)、ホログラフィトークなどです。

全国治療者リストを持つ学会・団体は、USPT研究会治療施設リスト、EMDR学会治療者リスト、BCT治療者リストBody Connect Therapy トラウマケア心理療法です。

 全国的に、治療者リストを持つ研究団体、学会などの団体については、上記に記載しました。残念なことに、ブレインスポッティングに関しては、全国的な治療者リストが出ていません。鈴木孝信先生に、「全国治療者リストを作成することをご検討下さい」とお願いしました。

 カウンセラーは、クライエントを悪化させてしまうので、慎重に実施しないといけないという配慮から、研修とか、先輩カウンセラーの指導を受けてから実施しないといけません。それぞれの施術について、適用と限界があります。その人に合うかどうか実施してみないと分かりません。カウンセラーと相談してみましょう。

 先日、電話をかけてこられた方の電話の趣旨は、「カウンセリングをする医療機関がない」、という趣旨であったように思います。医療機関・カウンセリング機関が、このような虐待被害者の存在を認識していただくことが、大切であると思います。

 
厚生労働省の関係者が、虐待被害者への本腰を入れた取り組みを始めていただきたい、と思います。カウンセリングを受けるための経済的支援が大切であると思います。
 
 苦しんでいるクライエントの方々の存在を認識してほしいと思います。












posted by 花井英男 at 10:14| 心理療法

2020年07月03日

「USPT入門」出版おめでとうございます!

日本発心理療法  「USPT療法」
「USPT入門」出版おめでとうございます!
心理学関係の学術書の出版社、星和書店から6月に出版された。


USPT入門
解離性障害の新しい治療法

監修 USPT研究会
編著 新谷宏伸 十寺智子  小栗康平

星和書店   1800円

最近、日本発の心理療法が相次いで出てきた。その中で、古いほうが、USPT療法だ。小栗康平先生による、USPT療法。私は、これに関心を持ち、東京、高田馬場にある、早稲田通り心のクリニックの診察室まで、陪席をお願いし、見学をさせていただいた。


トラウマに悩む方々が、薬だけでは治らない。精神科医の薬では治らない。カウンセリングでしか治らない、トラウマがある。このUSPT療法でずいぶんたくさんの方々が、救われている。


小栗康平先生の並々ならぬ努力により、自我状態療法に関する先行研究についての研究の努力の成果として、新しい心理療法が開発された。ワトソン博士の自我状態療法を発展させたと思う。EMDR療法実施の中から生まれた。

今回、「USPT入門」の出版に至るまで、すでに小栗康平先生は、3冊ばかり出版されている。すでに、USPT研究会による研修会が、東京、名古屋、福岡など開催された。今年、11月に名古屋で、セミナーが開催されると聞いている。今度の研修会では、内容が、きっと、進化した状態で発表されることを期待しています。


心の傷、トラウマの治療には、EMDR療法、CBT療法もある、ブレインスポッティング療法もある、ボディ・コネクト・セラピーもある。ホログラフィトークもる。沢山あって大変良い。それぞれが使い道があって便利だ。


それぞれ適応と限界がある。それぞれの療法がますます発展していくように研究がなされなければいけないと思う。終点ではない、出発点だ。


心の傷、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、複雑性PTSD、解離性障害、解離性同一性障害などの治療に関して、杉山登志郎先生(精神科医・研究者)は、「臨床心理士は、EMDR療法をこれから必ず勉強してほしい」と述べている。この分野に、このような発言をしていることは、本当に素晴らしいと思います。


臨床心理士、公認心理師にとって必須分野である。EMDR療法ばかりでなく、ブレインスポッティング、ボディコネクトセラピー、USPT療法、ホログラフィートーク、CBT療法(行動療法)も必須であると思います。


精神科医は、心の傷に関して、一般的に関心を持たないことが多いと言われている。薬による治療に関心を持つことが多いと言われている。最近、精神科医は研修会には、沢山関心を持つ方が増え、参加者が増えた。素晴らしい。


小栗康平先生は、誰も関心を持っていなかった、こころの傷の分野に関心を持ち、先行研究に地道に取り組まれ、EMDR療法で取り組んでいた時に、患者の自我状態の発現に出会い、USPT療法を開発された。脳科学の分野の研究が進み、もっと進歩していくと思います。


最後になりましたが、小栗康平先生、献本ありがとうおございます!益々の発展を祈ります。








posted by 花井英男 at 20:52| 心理療法

2020年05月15日

強迫性障害について

強迫性障害について


強迫性障害は、「単独で発症する場合もある」が、「発達障害を持つ人が併発することも」
また、「他の病気をあわせ持つ人も多い」という特徴について、記述したいと思います。

「単独で発症する」という場合、医師が診断する場合、なかなか難しいという事情が、医師によって指摘されている。


強迫性障害単独で発症する場合


「・・・一方で診る側、つまり精神科医にとっても、診断がつけやすい病気であるといえます。ところが、多彩な症状を呈することもあり、精神科医が受診する約3割の人が、統合失調症の前駆症状などと誤診されています」と指摘されています。

「図解 やさしくわかる強迫性障害」原井宏明  岡嶋美代 ナツメ社  66頁


強迫性障害は決して珍しい障害ではない。人口の2〜3%くらいの有病率であるとされている。
職場の同僚や上司などにも、本人の自覚がないかもしれないが、強迫性障害と診断されてもおかしくない人は、それなりに見てきた。ありがたいことに、強迫性障害についてはすでに明確な治療法が確立されている。


「発達障害を持つ人が併発することも」


発達障害と併存症である場合については、「よくわかる 強迫性障害」
監修 上島国俊   著 有薗正俊  主婦の友社に、次のように記述されています。

「発達障害を持つ人が併発することも」の頁で、

「発達障害があると、他の人が当たり前にしていることがうまくできずに、とまどいや不安を感じやすくなります。そのため、年齢を重ねるにつれ、進学や就職など人生の転機で、困難を感じることが多くなります。


また、発達障害の特性の中には、強迫性障害の特性と似ているものがあり、そのため、強迫性障害になりやすい人がいます。後略」


強迫性障害と関連する主な発達障害として、次のように記述しています。
広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD),注意欠陥・多動性障害(ADHD)

「他の病気をあわせ持つ人も多い」
の頁では、

不安障害、気分障害、依存症を挙げています。


強迫性スペクトラム障害(OCSD)の頁では、

強迫症状を併発したり、強迫性、衝動性が強迫性障害と似ている精神疾患のグループをスペクトラムという連続体として考えた呼び名です。

次のような疾患を挙げています。

身体表現性障害、心気症、身体醜形障害、解離性障害、摂食障害、統合失調症、チック、衝動性制御の障害(強迫的買い物、病的賭博、自傷行為、抜毛癖)、神経学的な障害(発達障害、てんかん)、パーソナリティ障害。



この頁の記述については、

「よくわかる 強迫性障害」 監修 上島国俊、 
著 有薗正俊  主婦の友社
  が、

大変すばらしい記述内容であると思いました。


posted by 花井英男 at 12:15| 心理療法