2020年05月24日

ゲーム依存は大丈夫?

2020年5月23日(土)
NHKクローズアップ現代
「外出自粛の陰で…ゲーム依存は大丈夫?」


出演者
樋口進さん (国立病院機構久里浜医療センター 院長)
高橋利幸さん (ゲームプレゼンター)
武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)


23日の夕方に、クローズアップ現代の再放送を少し見た。

短い時間だったが、見るだけの価値のある番組だった。青少年たちが、ゲーム障害に陥っている現状が伝えられた。ゲーム依存になった子供を抱えた親はどうしたらいいか。クラフト(CRAFT)という技法による方法があった。

ゲーム障害の定義

栗原アナウンサーは次のように言う
:「去年、実はWHOが「ゲーム障害」を治療が必要な疾患と定めているんですね。
「ゲームの使用をコントロールできない」、
「生活の関心事や日常生活より、ゲームを優先する」、
「問題が起きてもゲームを続ける」など、こうした状況が12か月間以上続くことを「ゲーム障害」と定義しているんです。


WHO策定  ゲーム障害の定義は、
●ゲームの使用をコントロールできない
●生活の関心事や日常生活より、ゲームを優先する
●問題が起きてもゲームを続ける
●ゲームによって、日常生活のさまざまな分野で明確な問題が生じる
上記が12か月以上続く


 樋口進さん(国立病院機構久里浜医療センター 院長)によれば、
「最初の3つが依存行動ですね。一番最後、「ゲームによって、日常生活のさまざまな分野で明確な問題が生じる」、ゲーム過剰使用と。依存とどこが違うんだというと、一番最後の4番目の項目が明確にあるかどうかということがキーポイントになると思います。 」


ゲーム業界の主な取り組みは
●年齢制限による自主規制
●ペアレタルコントロールの実施
●さまざまなガイドラインの作成と運用
●その他普及・啓発・調査活動

このような規制はあるものの、現実には、どんなことが起きているか。
樋口さんは、次のように言う。


時間については、やっぱりある程度の目安が必要なんじゃないかというふうな感じはいたします。「平日のゲーム時間と生じる問題」の中の、ここでは学業成績とか仕事の能率が落ちたということについて回答していますけど、


1時間未満が5%で、1時間以上になってくると10%を超えまして、時間とともにだんだん伸びていって、6時間以上だともう30%ぐらいになっています。

このような問題は、ほかにも同じような傾向が見られまして、朝起きられないとか、遅刻が増えるとか、学校に行けなくなってしまうとか、親子の間でゲームを巡っていさかいが絶えなくなってきて、お父さんやお母さんに殴られたりですね。


ゲームへの依存から、どう脱却すればいいのか。依存の背景にある問題に目を向けて、周囲の支えによってそれを克服しようという現場も取材した、キャスターの武田さんは次のように言う。

「ゲーム依存 抜け出すには
依存症に苦しむ本人ではなく、家族の側に働きかける取り組みが、いま成果を上げています。」


ゲーム依存に悩む170組以上の家族の相談に乗ってきた、八木眞佐彦さん(精神保健福祉士)は次のように言う。

「八木さんは、家族が無意識のうちに使っている否定的なことばを、肯定的なものに変えて関係の修復をはかる「CRAFT(クラフト)」というプログラムを実践しています。」


CRAFT(クラフト)とは、「否定的な言葉を、肯定的な言葉に変え関係の修復をはかるプログラム」だと紹介しています。

ある母親の経験を紹介しています。
この母親は、息子がゲーム依存とひきこもりになり、1年半もの間悩み続けてきました。
母親
「本当に長い暗いトンネルの中に入ったような状態で、家族全員が落ち込んだ、本当に暗い気分でいたんですけれども。」
両親は「頑張ってほしい」と伝えることが息子にプラスになるのではと考え、部屋の前に千羽鶴と長文の手紙を置きました。

母親
「自分ができることとして、折り鶴を折ろうって決めて折っていた。」
しかし翌日、千羽鶴は息子に燃やされていました。


「千羽鶴を置いたことは『ゲーム依存をしている君は病的だよ』というメッセージに伝わってしまった可能性があるんですね。」
八木さんは、手紙をやめ、小さな付箋にひと言だけ感謝のことばを添えるようアドバイスしました。


母親
「食器を片づけてくれたら『片づけてくれてありがとうね』って、本当に当たり前のこと。ありのままを主人と私が受け止めているよということが息子に伝わるように。今のままで何ひとつ責めてないよっていうところを意識して。」

すると、家庭の雰囲気が少しずつ穏やかになっていったといいます。

精神保健福祉士 八木眞佐彦さんは言う。
「(息子の)自己否定感が高まっている可能性が高いところ、プレッシャーにならないポジティブなメッセージを付箋に書くことで、理解している雰囲気が伝わった。息子さんのつらさは徐々に緩和していったのかな。」


去年、息子は突然部屋を出てきて、思いを話し始めました。今は外出もできるようになり、ゲームもしていないと言います。
母親
「ただゲームをしているのではなく、心につらい悩みがあることを親が少しずつ気付いていかなければいけない。家族が理解してあげて、環境作りをすることがすごく大切だなと。」


ゲーム依存から抜け出すには、家族が理解してあげて、環境づくりをすることがすごく大切だ。

ここまでで、番組の紹介は終わります。

後略。

番組の感想



CRAFTの紹介をした、素晴らしい番組だと思います。保護者への、また、支援者である心理職、精神保健福祉士、関係者へのすばらしい贈り物だと思います。

解説:「クラフト」とは、CRAFT:Community Reinforcement and Family Trainingの頭文字、C.R.A.F.T.です。
社会的引きこもり、発達障害児、依存症などの保護者支援に適用されます。

スミス&メイヤーズ  境東洋・原井宏明・杉山雅彦(監訳)2012 CRAFT依存症患者への治療動機づけー
家族と治療者のためのプログラムとマニュアルー  金剛出版 があります。

境東洋先生の著作にクラフトについて、具体的に解説がなされています。

「地域における引きこもり支援ガイドブック」  境東洋 編著 金剛出版  




posted by 花井英男 at 10:46| 認知行動療法

2019年09月01日

認知行動療法学会に参加して

認知・行動療法学会第45回大会に参加して

会期:2019年8月30日(金)〜9月1日(日)
会場:中京大学名古屋キャンパス
地下鉄:「八事」駅

大会テーマ 新しい時代に活かす認知行動療法


6つのワークショップと行動療法士研修会、自主企画シンポジューム、ケーススタディ、ポスター発表に参加した。

6つのWSはほぼ実り多いものだった。行動療法士研修会、もよかった。

WSの内容、ポスター発表の感想を書きます。

「コンパッション・フォーカスオト・セラピー入門」―まだエビデンスはないという。講師は、詳細な資料を用意してくれた。実践的な内容。
今迄、外国で実践されてきた実践に基づく説明。講師自身も実践している体験に基づいて話した。辛い体験、傷ついた体験のクライエントの面接には、必須の内容であると思った。




「青年期摂食障害のアセスメントと介入」は、医師の立場からの介入と、心理士の介入の2つの立場からの実践を紹介した。医師の立場からの介入が主であると思われるが、やはり心理士などの介入も欠くことのできない内容だ。


「成人期のADHDの認知行動療法」−長年、ADHD臨床に携わってきた、講師の豊富な経験から編み出されたアプローチの詳解・紹介であった。実際どのようなアプローチするかを手持ちでないと実践は出来ない。場を和ませて、ユーモラスに話を進めていく講師は自信にあふれている。聞いてよかった。



「司法・犯罪分野における触法者に対する認知行動療法」−2人の同じ講師によるワークショップは、2度目である。内容は、進化している。難しい事例にどう対応するか。行動療法からのアプローチは難しい。それを見事にクリアしてくれたと思った。
実践では大変だ。



「エクスポージャ療法とハビット・リバーサルー効果的な行動療法の基本技法を学ぶー」−ベテランの講師による話し。参加者は多い。豊富な経験に基づく実践例。講師からの話ばかりでなく、参加者からの症例に応える内容も。


会場の感想。

中京大学のキャンパスには、十数年ぶりに入った。1号館は、最近できた校舎か。十数年前にはなかった。久野能弘元教授が在職していた頃は、毎月、行動療法研究会で中京大に来ていた。大学院在学中と終了後の頃のこと。久野先生には、大変お世話になった。中京大でずいぶんお世話になった。


もう久野先生は亡くなっていない。時がずいぶん過ぎたと思った。1号館は、6階建て。エレベーターが4台。エスカレーターもある。廊下には、感じのいい絵画や、大きな彫刻作品がかけられている。1階にセブンイレブン。2階に食堂。


校外には、金属彫刻と樹木。ホテルの中にいるような感じ。食堂もゆったりできる広々とした広さ。各階には、学生がゆっくりできる、又、学習できる空間、座席、机の配置。
今の学生たちはこんな環境で勉強しているのかと思った。



奈良教育大大学院時代の恩師の小野昌彦先生(現・明治学院大・教授)にも会い少し話せた。何よりもうれしかったのは、佐藤亮太郎さん(小野先生の教え子)(M2)のポスター発表に行ったら、喜んで発表内容の説明をしてくれたことだ。素晴らしい内容。

タイトルは、「包括支援アプローチ適用による登校しぶりを伴う選択緘黙児への学校適応支援―緘黙反応以外にも不適応状態を示していた事例―」

緘黙児が話せるようになったアプローチをどのようにしたか、更に、不登校をいかに克服したかの、具体的な実践方法。


私も小野先生の教え子だということで、私の名前を日頃から小野先生から聞いていたようだ。私のネームカードを見て大変喜んでくれた。初めて会ったのに、旧知の人のように喜んでくれた。
彼の説明の話は、気持ちよく頭に入った。
博士課程に進学するとのことであった。小野先生の継承者が出たことはうれしい。
学会では、若い人たちが目立った。認知行動療法の担い手が増えていることはうれしい。










posted by 花井英男 at 20:55| 認知行動療法

2019年05月12日

名古屋認知・行動療法セミナー

名古屋認知行動療法セミナー

主催:日本認知・行動療法学会


日時:2019年5月12日(日)10:00~15:00

会場:ウィンクあいち 1202・1203号室

JR・近鉄・名鉄・地下鉄 名古屋駅



司会:古川洋和先生 鳴門教育大学

WS1 『不登校ゼロを目指した認知・行動療法によるアプローチ』

10:00~12:00
講師:小野昌彦先生  明治学院大学



WS3 『ケースフォーミュレーションを活用するために』

13:00~15:00
講師:下山晴彦先生  東京大学



参加者は、2つとも、100名以上であった。会場いっぱいであった。関西方面からの参加者もいた。


WS終了毎に、坂井誠先生(中京大)から、
第45回大会の大学の会場案内がなされた。出来たばかりの大学の施設、地下鉄から直通でつながっているキャンパス。
大学のキャンパスの詳しい案内、隣に徳川家に由来のある、緑にあふれた八事山興正寺が紹介された。


認知・行動療法学会第45回大会 会期:2091年8月30日(金)~9月1日(日)
会場:中京大学名古屋キャンパス


今回のワークショップは、第45回認知・行動療法学会のプレセミナーとして、開催された。


大学院在学中に、小野先生の評判を聞いた。「不登校を百発百中治す先生がいる」
それで大学院修了後、奈良へ行くことになった
小野先生は、「不登校を百発百中治す」という認知・行動療法学会の学者の中で、評判の先生です。


小野昌彦先生のワークショップは久しぶりだ。最近の先生の活躍ぶりを知りたくて参加した。
私は、スクールカウンセラー在職時(県立高校、愛知県の小中学校、岐阜県東濃地区の小中学校)は、不登校の児童生徒の支援は、張り切って取り組むことが出来た。不登校の子の再登校支援は好きだった。


私は、奈良教育大学大学院で小野先生のもとで、不登校の再登校支援を勉強した。毎週月曜日、朝6時に出て、新幹線と近鉄を使って、奈良教育大まで通った。これが縁で、行動療法、認知・行動療法を生涯、使うことになった。

毎週、月曜日は、奈良教育大の先生の研究室で、授業後から4時ころまで、先生との話しを聞いたり、先生のゼミ生らと話をしたり、奈良教育大での研修会のお手伝いをしたりして、名古屋へ帰った。

先生が、どこかで研究発表すれば、岡山でも、大阪でも研修会について行って、発表を聞いた。先生の発表論文は、すべて読んだ。研究生としての論文も書いて、認めて頂いた。今あるのは、小野先生のおかげだ。

学会でも発表したし、大学の研究紀要に発表した。
小野先生のお蔭で、金子書房からも、分担執筆させて頂いた。

小野先生は、A3の大きな紙の裏表に、パワーポイントの内容が紹介した。

小野先生は、「児童・生徒の問題行動解決ツール 実践で使える10ステップCD付」
風間書房 小野昌彦著 9000円の内容を紹介をした。

この本は、学校の先生方に大変評判で活用されているとのことだ。素晴らしいことだ。


さらに、「不登校の本質ー不登校問題で悩める保護者の皆さんのために」 小野昌彦著  風間書房 900円
の内容の一部を紹介をした。

小中学校の不登校数は、過去最高の約14万人となった。
これだけ多くの児童、生徒が義務教育を保障されていない状態の国は世界に類を見ない。
大体12万、13万人前後であった。


この原因は、教育関係の現場へ行動論の立場からのアプローチの未普及であると
小野先生は考える。

本セミナーの目的、内容は、不登校改善に有効である行動療法のアプローチが普及し、日本の教育における危機的状況の改善に少しでもお役にたてることを祈念すると、小野先生は、述べられた。


効果的な不登校改善の方法が全国に普及していないのである。


小野先生は、最後に、高校生とメールでやりとりをして、再登校支援に成功した実践例を紹介した。

大変実践的で学ぶところが多い。

スクールカウンセラーは、試行錯誤が多いのではないか。臨床心理士養成大学院に、そもそも、不登校の改善のできる研究者がいないのが現実である。


そのため、スクールカウンセラー達は、どうアセスメントしたらいいか知らない人が多いし、介入をどうしていいか分からない人が多い。


愛知県のスクールカウンセラーの幹部は、スクールカウンセラーは、不登校を治すことはしなくてもよい、と言っているのが現状だ。

いつまで、このような状態が続くのか。臨床心理士会の体質改善を期待します。

莫大な予算を国も、地方自治体もそそぎこんでいるのに、効果が出ない状態だ。

下山先生の得意な、専門である「ケースフォーミュレーション」の話をした。直に先生のお話が聞けたのはうれしい。


かつて、山上敏子先生(久留米大学)(日本へ行動療法を導入した先駆者・精神科医)が、東大で行動慮法の講義( 2010 山上敏子の行動療法講義 with 東大・下山研究室 東京:金剛出版)をされた。それが土台になっているようだ。

貴重な話が聞けた。下山晴彦先生のケースフォーミュレーションの講義は、ネット上でも見ることが出来る。







posted by 花井英男 at 18:31| 認知行動療法