2013年04月20日

映画 英国王のスピーチ The King’s Speech

カタクリ.jpg 吃音(きつおん・どもること)を克服した、英国王ジョージ6世(現在のエリザベス女王の父君)の史実に基づく物語です。アカデミー賞受賞作品です。
 この映画は、オーストラリア出身のスピーチ矯正(きょうせい・わるいところを治すこと)専門家ライオネル・ローグの記録をもとに作製されました。
 ジョージ6世は、「善良王」と言われ、敬愛された国王で、仲むつまじい夫妻として国民に知られています。また、1939年のポーランド侵攻によって第2次世界大戦を引き起こしたヒトラーに対して、宣戦布告(せんせんふこく・相手の国に対して戦争すること宣告すること)をして、英国民を鼓舞(こぶ・ふるいたたせること)した国王として知られています。
 ジョージ6世は、少年・青年時代はヨーク公アルバート王子と言われました。幼いころから吃音で困っていましたが、厳格な父はそんな息子を許さず、王子に様々な式典のスピーチを容赦なく命じました。王子は散々な(さんざんな・まったくひどい目にあう)体験にして、恥をかきました。兄からは、「バ、バーディ」とからかわれました。
 何人もの言語聴覚士や医師の治療を受けても、王子は、一向に改善しませんでした。夫を心配して、妻のエリザベス妃はひそかにスピーチの矯正専門家ライオネルを訪ね、治療を依頼しました。王子は、妻のエリザベスに付き添われて、仕方なくライオネルのもとを訪ねました。
 ライオネルは、型破りで、治療のためには、自分の家に来るように言いました。王子といえども、身分に関係なく、対等平等の関係であると言い、王子を愛称「バーディ」で呼びました。また、喫煙を禁止しました。吃音は緊張が関係していると考え、呼吸法という方法を使いました。ライオネルは、プライベートについて遠慮なく質問をぶつけ、王子を怒らせました。大音量の音楽の流れるヘッドフォンをつけさせ、王子にシェイクスピアを朗読(ろうどく)させました(マスキング法という治療法・大音量の音を聞いていると、自分のどもっている声を聞かなくてすむ)。今まで様々な治療を受けて、つらい目に逢っている王子は、ライオネルにも不信感を持ち、「君の治療は自分には合わない」と告げ、足早に立ち去ってしまいました。
 だが、クリスマス放送のスピーチがまたまた失敗に終わって落ち込んでいました。ふと、ライオネルから渡された朗読の録音レコードを聴いてみると、すらすらと読んでいる自分を発見しました。気を取り直し、自らライオネルに治療を依頼し、信頼関係を築き、徐々に改善していきました。
 “王冠をかけた恋”のために王位を捨てた兄の代わりに、突然、王子は望まぬ国王の座につかなければなくなりました。帝王学を学んでいないこともあり、「僕は国王になれない」と泣きじゃくったそうです。戴冠式を無事にすませ、ジョージ6世は、第2次世界大戦開戦にあたって、国民の心を一つにし、勇気づける見事なスピーチを披露(ひろう・発表すること)しました。ラジオ放送の場面で、ライオネルと王妃が、支えていました。エリザベス王妃は、夫のスピーチが無事に終わり、大変感激し、喜びました。
ジョージ6世が亡くなった時、エリザベス王妃は、ライオネルに対して、「スピーチと人生を支えてくれた」と、ライオネルにお礼の書簡を送ったと言われています。
ジョージ6世の真剣な努力と開戦のスピーチに感動しました。
吃音は沢山の実践研究が行われているが、原因などが解明されていなくて、治療法が確立していないと報告されていましたが、行動療法、認知行動療法による改善ができる時代になっています
posted by 花井英男 at 10:58| 心理学

2026年02月12日

心をほりまくれ!

積丹半島小.jpg
脚本家田淵久美子さん  NHKようこそ先輩課外授業

NHK大河ドラマ「篤姫」(あつひめ)、「江(ごう)〜姫たちの戦国〜」の脚本家である田淵久美子(たぶちくみこ)さんが母校の島根県益田市立吉田小学校で、上記のタイトルで授業をしました。
田淵さんの授業のねらいは、人の気持ちを想像し、同時に、自分の気持ちを理解することです。
子供たちに最初に出した課題は、2人一組のペアを作り、親友になり、相手の悩みを聞きだすことです。くじびきでペアを作ります。1の番号を持っている人は誰と誰ですか?と田淵さんが聞くと、2人が手を挙げました。思わぬ組み合わせができ、クラスで爆笑が起きました。また、男の子と女の子がペアになり、困った顔をしていましたが、最後までしっかりと課題をこなしました。
開始3分でお互いに何を聞いていいか分からず、沈黙になる子もでました。進みません。この状況を見て、田淵さんは、「親友だよ」と言って、子供たちに会話をするようにうながします。
次に田淵さんが出した課題は、相手の悩みについて、相手になりきって、用紙に書きとることです。相手と向き合うことは、自分自身を知ることであり、自分と出会うことだと田淵さんは考えます。
子どもたちは、2日間徹底的に同じ相手と対話します。テーマは「悩み」から始まって、「将来の夢」、「いいところ」などです。初日は会話が続かなかった子供たちも2日目には心の奥にある思いまで話し合います。相手の悩みを掘り続けているうちに、実は自分のことが分かってくるのだと田淵さんは言います。
田淵さんが、子供たちに最後に出した課題は、「2日間で見つけた自分」を発表することです。次に、自分の悩みをどう解決したかの一部を紹介します。
A君の場合:6人兄弟の長男で下の子をせわしなければいけない。自分のものがどこかへいってしまうと困っていたが、話し合いの中で、下の子に話しかけてやること、サッカーの練習相手になってやれることに気付いた。
Bさんの場合:マンガを一緒に描いている子とけんかをしてしまい、最近話をしていない。原因は「そこにいたらムカツクと言ってしまったの。」仲直りするために、「家に描きに来ない?」と、さそったらとアドバイス。「そんなこと言っても相手にしてくれない」と否定していたが、結局、マンガの友達と仲直りをするために、自分から話しかけることになった。
C君の場合:体の大きいことをからかわれて、言い返して、また、相手に言い返されて、悪循環を繰り返している。これに対して、君のいいところは、低学年の子にやさしいこと、なんでも挑戦してやっていることだと、アドバイスを受け、堂々巡りから脱出する。
Dさんの場合:頭のいいお兄ちゃんとくらべられる。くらべられるのがいやだったが、お兄ちゃんがいていいことは、教えてもらえることだ気づいた。
 田淵久美子さんの「心を掘りまくれ」ということは、子どもがペアを組んで、相手の悩みを聞いて、相手が見えなかったもの、感じ得なかったものを、第三者の立場から、ペアの友だちがしっかりと見て、相手に伝えることです。友だちを支えることをピア・サポートと言います。
私たちは、困ったと思うことを一人で抱え込んでうまく解決できないときがあります。こういうときは、お母さんならどういうだろう、親しい友だちならどんなアドバイスしてくれるだろう考えて、合理的な、バランスのとれた考え方を見つけることができます。そうして、不安やうつの気分が少しでも軽くなることができます。
田淵久美子さんの「心を掘りまくれ」というのは、日常生活の中で、不安になったり、落ち込んだり、悩んだりするときに、誰でもが実践している事柄であると思います。これは、専門的な言葉でいえば、行動療法であり、認知療法(認知再構成法)であり、認知行動療法であると思います。自分の考え方や行動の癖は自分では気付かないでいることがあります。生活の中で、気分(感情)、行動、体の調子、考え方(認知)の四つの部分は、密接につながっております。心も体も健康的な生活をしたいものです。


posted by 花井英男 at 16:18| 心理学