この映画は、オーストラリア出身のスピーチ矯正(きょうせい・わるいところを治すこと)専門家ライオネル・ローグの記録をもとに作製されました。
ジョージ6世は、「善良王」と言われ、敬愛された国王で、仲むつまじい夫妻として国民に知られています。また、1939年のポーランド侵攻によって第2次世界大戦を引き起こしたヒトラーに対して、宣戦布告(せんせんふこく・相手の国に対して戦争すること宣告すること)をして、英国民を鼓舞(こぶ・ふるいたたせること)した国王として知られています。
ジョージ6世は、少年・青年時代はヨーク公アルバート王子と言われました。幼いころから吃音で困っていましたが、厳格な父はそんな息子を許さず、王子に様々な式典のスピーチを容赦なく命じました。王子は散々な(さんざんな・まったくひどい目にあう)体験にして、恥をかきました。兄からは、「バ、バーディ」とからかわれました。
何人もの言語聴覚士や医師の治療を受けても、王子は、一向に改善しませんでした。夫を心配して、妻のエリザベス妃はひそかにスピーチの矯正専門家ライオネルを訪ね、治療を依頼しました。王子は、妻のエリザベスに付き添われて、仕方なくライオネルのもとを訪ねました。
ライオネルは、型破りで、治療のためには、自分の家に来るように言いました。王子といえども、身分に関係なく、対等平等の関係であると言い、王子を愛称「バーディ」で呼びました。また、喫煙を禁止しました。吃音は緊張が関係していると考え、呼吸法という方法を使いました。ライオネルは、プライベートについて遠慮なく質問をぶつけ、王子を怒らせました。大音量の音楽の流れるヘッドフォンをつけさせ、王子にシェイクスピアを朗読(ろうどく)させました(マスキング法という治療法・大音量の音を聞いていると、自分のどもっている声を聞かなくてすむ)。今まで様々な治療を受けて、つらい目に逢っている王子は、ライオネルにも不信感を持ち、「君の治療は自分には合わない」と告げ、足早に立ち去ってしまいました。
だが、クリスマス放送のスピーチがまたまた失敗に終わって落ち込んでいました。ふと、ライオネルから渡された朗読の録音レコードを聴いてみると、すらすらと読んでいる自分を発見しました。気を取り直し、自らライオネルに治療を依頼し、信頼関係を築き、徐々に改善していきました。
“王冠をかけた恋”のために王位を捨てた兄の代わりに、突然、王子は望まぬ国王の座につかなければなくなりました。帝王学を学んでいないこともあり、「僕は国王になれない」と泣きじゃくったそうです。戴冠式を無事にすませ、ジョージ6世は、第2次世界大戦開戦にあたって、国民の心を一つにし、勇気づける見事なスピーチを披露(ひろう・発表すること)しました。ラジオ放送の場面で、ライオネルと王妃が、支えていました。エリザベス王妃は、夫のスピーチが無事に終わり、大変感激し、喜びました。
ジョージ6世が亡くなった時、エリザベス王妃は、ライオネルに対して、「スピーチと人生を支えてくれた」と、ライオネルにお礼の書簡を送ったと言われています。
ジョージ6世の真剣な努力と開戦のスピーチに感動しました。
吃音は沢山の実践研究が行われているが、原因などが解明されていなくて、治療法が確立していないと報告されていましたが、行動療法、認知行動療法による改善ができる時代になっています