2022年11月14日

「ドイツへの傾斜」  司馬遼太郎

「ドイツへの傾斜」  司馬遼太郎


司馬遼太郎  「この国のかたち」  文芸春秋


たまたま読んでいた、司馬遼太郎の「この国のかたち」(文芸春秋)の中に、「ドイツへの傾斜」を読んだ。なかなか面白い文章だ。そもそも、なぜ、日本が、日露戦争、日清戦争、太平洋戦争に突き進んだのか?ということにもつながる。

明治の大日本帝国憲法がどのようにできたのかにもさかのぼる。司馬遼太郎は、分かりやい言葉で、誰にでもわかる言葉で、明治時代の蘭学者たちが、ドイツ人のものの考え方、制度を取り入れる方向に向かっていった経緯を述べる。

司馬は次のように述べる。「日本近代史に、“ドイツへの傾斜”がある。アメリカ人で、日本近代史を専門とする人が、『どうしてそんなことになったのか』と、否定的な表情で私に聞いたことがある。」

「江戸期、日本にとってオランダがヨーロッパ文明そのものだった。医学も理化学もオランダ語によって知ったし、オランダ語によって知ったし、またペリー来航以後、幕府が設けた長崎に設けた海軍教育機関も、オランダ式だった」引用文

が、維新の翌年の明治二年(一八六九年)という早い時期に、日本政府はオランダ医学を捨ててしまう。」引用文

「そのようにすべく政府の要路に対して物狂いしたように説いてまわったのは、相良友安(佐賀藩)と岩佐純(越前福井藩)という二人の蘭学者だった。」引用文


「英語圏に見習って国づくりをすべきだった。という言い方も十分以上に成立する。・・・中略・・・ただ、アメリカは、その後南北戦争(1861〜65年)がおこって、幕末における対日外交が手薄になった。」引用文

イギリスも、フランスも、幕府に対して、抜きんでて能動的な対日外交を展開した経緯があった。

「明治維新を起こして4年目(1871年)に、プロイセン軍がフランス軍を破ったことが大きい。在欧中の日本の武官は、目の前で鼎の軽重を見てしまった。かれらはドイツ参謀本部の作戦能力の卓越性と舞台の運動の的確さを見、仏独の対比もした。」引用文。


「憲法についても、そうだった。」
「憲法をつくろうという機運は明治十年代からあり、さまざまな検討が行われたが、結局はドイツの後進性への親近感が勝った。」引用文


面白いのは、次の文章だ、「フランス憲法については、“過激”すぎるという印象だったし、後略」
「ドイツについては、ひいきというよりも、安堵感だったろう。ヨーロッパにもあんな田舎くさいー市民精神の未熟なー国があったのか、とおどろき、いわばわが身にひきよせて共感した。」引用文


中略

「陸軍が統帥権を根拠にして日本国を壟断(ろうだん)してはじめるのは昭和十年前後だが、外交面でまずやったのは、外務省や海軍の反対を押し切って、ヒトラー・ドイツと手を組むことだった。」

中略

「日本の近代化時代のドイツ偏重や、陸軍におけるドイツ傾斜というのは、一種の国家病のひとつだったとしかおもえない。」引用文















posted by 花井英男 at 17:04| 戦争・平和

憲法について考える「県民の集い」

中日新聞の記事―2022年11月13日朝刊―の紹介
11月3日の講演会の記事をずいぶん、たってから載せていますが、大切な内容だと思います。
そのまま紹介します。以下の通りです。


憲法を考える集い

9条の役割を説く

名古屋で大学教授講演

憲法公布から76周年を迎えた三日、愛知九条の会は、
名古屋市昭和区の市公会堂で、憲法について考える「県民の集い」を開いた。


野党共闘を後押しする市民団体「市民連合」の中野晃一・上智大学教授が講演し、7月の参院選後の政治などについて語った。

中野教授は、阿部晋三元首相の国葬や旧統一教会の問題への対応を巡り岸田政権が大きく揺らいでいると指摘。来年の統一地方選が野党にとって重要な局面になる一方、「改革」を前面に掲げた与党が再び政権の座に就く可能性が高いと述べた。


憲法九条に関しては、アジアの近隣職に対する最大の「安心」として機能してきたのに加え、米国の戦争に巻き込まれるのを防いできたとも強調。


「九条を壊せば、平和や国民の権利ではなく、国を守ることが最優先になる。もう一度、希望が持てるように、若者とともに具体的な提案をしていかなければならない」と訴えた。













posted by 花井英男 at 09:26| 戦争・平和

2022年11月03日

>憲法公布76周年記念 憲法9条をまもろう 2022 愛知県民のつどい

憲法公布76周年記念

憲法9条をまもろう

2022 愛知県民のつどい


2022年11月3日 13時開演

ところ:名古屋居市公会堂 大ホール

(YouTube同時配信)


〜プログラム〜

12:30 開場

13:00 開会


開会挨拶

司会 澤村暁世   愛知県平和委員会青年学生部

13:10   第1部開演

バリトン独唱  鳴海 卓   声楽家 ・二期会会員

ピアノ     森光 明子

曲目 『小さな空』

    『翼』

    『死んだ男の残したものは』
    
『鐘が鳴ります』

     『イヨマンテの夜』

2022 日本のうたごえ全国合同合唱団有志  (約50名)

指揮   鳴海 卓    ピアノ     森光 明子

曲目   『共に生きる町』

『芦別の雪の中を』

13:45 第2部開会

講演  『9条では日本を守れない』?

市民と野党の共闘が守る立憲民主主義と平和

講師: 中野 晃一 上智大学 国際教養学部 教授


15:05  休憩

15:20  質疑応答

15:45 閉会挨拶・まとめ  
 
 加藤  洪太郎 弁護士・あいち9条の会事務局長

16:00  閉会



バリトン歌手の鳴海卓さんの澄んだ朗々たる歌声を聞いて。こころが晴れ晴れとした気分になった。
     歌詞は分からないが、聴いていて気持ちがすっきりする。いい歌を聞いたという気分だ。

     来てよかった。この歌が聞けて良かったという感じ。

     ピアノを弾いている人もすごい経歴に人のようだ。    森光 明子さん

     

講師の中野晃一さんは、分かりやすい言葉で、本当に噛んで含めるような感じで一貫して話を
     分かりやすくして話してくれた。
周りは、本当によぼよぼの私のような、本当に老人ばかりだ。

     

講演が終わってから、会場の入り口で、誰か知り合いはいないかと、待っていたが、
     マスクをはめているせいか、ほとんど分からない。おどろいかたことに、参加者は、本当に
     老人の男女ばかりだ。おばあさん、おじいさんばかりだ。

    

9条の会の参加者は、高齢者ばかりだ。日本の平和を守ってきた。貴重な存在だ。
    講師の中野晃一さんは、政治学者としてということばを何回も使った。政治学者として
    現状をどう見るか、という観点を繰り返した。

   

 今まで、憲法の集会に参加した。その時に話をしたのは、憲法学者だったのかと思った。中野晃一さんは、「政治学者として」という点を強調した。新しい観点での話であった。A4、3枚のレジメをもらった。改めて読みたい。
    









    
 













posted by 花井英男 at 21:33| 戦争・平和