2020年度の児童虐待の数が、
8月26日頃、NHKニュースで報道された
児童虐待、2020年度、過去最多の20万件 前年度より5.8%増
ニュースの内容は、以下の通りです。
「18歳未満の子どもへの児童虐待は、30年連続で増え続け、2020年度は過去最多の20万5029件になった。20万件を超えたのは初めて。前年度より5・8%(1万1249件)多くなった。厚生労働省が27日、全国の児童相談所(児相)が相談対応した件数を公表した。
件数が増えているのは、相談経路の50・5%を占める「警察等」からの連絡が増えていることが大きい。通報で駆けつけた警察官が、夫婦間の暴力が子どもの前で行われる「面前DV」を心理的虐待と判断して児相に連絡するケースが目立つという。
相談の経路はこのほか、「近隣・知人」の13・5%、「家族・親戚」の8・2%と続いた。「学校」が6・7%と前年度から0・5ポイント減っており、厚労省は「新型コロナウイルスの感染拡大による休校が影響した可能性がある」としており、虐待の見落としが懸念される。」
以上です。
私の虐待被害者についての経験と感想をお伝えしようと思います。
ニュースでは、児童相談所(児相)が相談対応した件数が発表されます。しかし、実際には、誰にも助けてもらえなかったケースもあります。幼児期・児童期・青年期に必死に助けを求めて電話したが助けてもらえなかったという方もお見えになります。相談件数には入らないケースもあります。例えば、片親の虐待に耐えて大学まで卒業し、就職したが続けられず、無職の状態になり、PTSDの症状に苦しんでおられる方もおられます。
心理相談室の料金は、一般に、高額です。私の相談室では、初回は、90分くらいの事情聴取と心理検査で、12000円です。健康保険証が使えません。大変な高額です。わたしの相談室の料金は、これでも、周辺と比べれば低いほうです。
相談を受けたい方にとって、この料金は、相当な負担です。だから、相談室に来られない事情の方が多いのではないかと思います。料金のために、相談室にかかりたくても、かかれないという事情の方がお見えになると思います。
医師にかからないで、相談室に行きたいと思っておられる方がいると思います。しかし、そういう方は、就職できていない方もあれば、収入がない方もいるし、収入が少ない方もおられます。こういう方は、虐待の被害者の症状に苦しんでおられると推察します。
「医療難民」という言葉があります。どこの医療機関も受けつけてもらえないという方がおられると推察します。受け付けてもらっても治らないという方もいるかもしれません。このような方がおられるという現状を知っていただきたいと思います。
心理相談室の料金が高いのは、臨床心理士の心理療法の研修費用が相当高いことと、臨床心理士も、生活費を稼がなくてはいけない事情があります。研修費についていえば、EMDR療法にしても、ブレインスポッティング療法にしても、USPT療法にしても、研修費用が相当高い費用を払っています。
相談室がどんな方でも相談に乗るかと言えば、そうではありません。精神科でも、相談室でも相手にしてくれないこともあると思われます。虐待を受けた子どもたちが児童養護施設に保護されると思います。そういう施設で手厚い保護を受けておられると思います。
児童養護施設を出た後も、医療・カウンセリングが必要になる方が多いと思います。こういう方々への支援制度はないと言っていいいと思います。社会人として生活が成り立たない方もおられます。児童養護施設に入らなかった方でも、大学卒業後、就職してから、症状に苦しみ、職業生活が続けられない方々がおります。児童養護施設に入らなかった人も、フラッシュバックの症状に苦しんでおられ、仕事が続けられない人もおります。
当相談室では、被害者に対するカウンセリングの手法は、EMDR療法、ブレインスポッティング療法、USPT療法(自我状態療法)、ボディコネクト療法などを使っています。
これらの手法が有効な場合もあります。また、効果が出るまでに時間がかかる方もあります。回復までに、何年もかかる場合もあります。経済的な負担を減らす工夫をして頂くために、クリニックにかかって、健康保険を使い、福祉制度を活用していただくことが大切です。被害者のカウンセリングとか医療費の経済的負担が大変大きいのご実情です。
現在、一番大切なことは、被害者が、カウンセリング機関とか、医療機関につながるということです。これさえできない方がいると思います。医療機関にかかり、ドクターに実情(虐待の被害者であること)を告げ、ご自分の症状をを告げ、社会福祉制度の手続きを尋ね、現在、受けられる福祉制度の手続きを作成してもらうようにしたらどうでしょうか?
成人された、幼児期・児童期逆境経験者、幼児期・児童期・青年期逆境経験者の方で、トラウマ症状、フラッシュバックの症状、人格障害、解離性障害の症状などに困っておられる方は、まずは、現在ある福祉制度の活用に取り組んだらいかがでしょうか?
こういう方々への治療支援制度がもっとしっかりとしたものにしていくことは大切であると思います。医療難民の状態の方もおられると思います。ちゃんとした、福祉制度にのっている方もおられると思います。
被害者へのカウンセリング方法、治療方法の確立もしっかりしたものするように、EMDR学会とか、ブレインスポッティング学会でも、USPT研究会でも探求する方向を関係者が、探すべきだと思います。
もう一つの大事な問題は、カウンセリングが受けたくても、経済的な事情のために、カウンセリング機関へ通えない方々がお見えになるということです。このような方たちへの支援が緊急に必要です。