2017年12月11日

落語  おかめ団子

NHKラジオ深夜便
2017年12月10日

【話芸100選】

古典落語

「おかめ団子 」林家たい平

解説:柳家さん喬

聞き手:遠藤ふき子アンカー



久しぶりにいい落語を聞いた。笑点に出ている、林家たい平の落語である。

林家たい平には親近感を持つ。彼は美術大学出身だ。

美術大学在学中に、人を楽しませるためには、絵を描く方法もあるが、落語による方法があるという気持ちを持ち、落語家になったという経緯がある。


母校の小学校で、小学生に落語を作ってみることを提案し、子どもたちに学校で寄席を開催した。素人が出来ることではない。見事に成功させた。

このことを私は、勤めていた中学校のスクールカウンセラー便りに紹介した。

さて、おか目団子の内容は次の通り。

林家たい平の話した内容と少し違うが、大筋は次の通りです。

「落語あらすじ事典 千時寄席」から引用します。

おかめ団子(おかめだんご)/落語

   
麻布名物「おかめ団子」を舞台にした、地味でつつましい人情噺。

麻布飯倉片町に、名代のおかめ団子という団子屋がある。

十八になる一人娘のお亀が、評判の器量よしなので、
そこからついた名だが、暮れのある風の強い晩、

今日は早仕舞いをしようと、戸締りをしかけたところに
「ごめんくだせえまし、お団子を一盆また、頂きてえんですが」と、一人の客。

この男、近在の大根売りで、名を多助。

年取った母親と二人暮しだが、
これが大変な親孝行者。

お袋がおかめ団子が大好物だが、ほかに楽はさせてやれない身。
しかも永のわずらいで、先は長くない。

せめて団子でも買って帰って、喜ぶ顔が見たい。

店の者は、忙しいところに毎日来て、
たった一盆だけを買っていくので迷惑顔。

邪険に追い返そうとするのを主人がしかり、座敷に通すと、
自分で団子をこしらえて渡したので、多助は喜んで帰っていく。

中目黒の家に帰った多助、母親が嬉しそうに団子を食べるのを見ながら床につくが、
先ほど主人が売上を勘定していた姿を思い出し、

大根屋では一生お袋に楽はさせられない、あの金があれば
と、ふと悪心がきざす。

頬かぶりをしてそっと家を抜け出すと、風が激しく吹きつける中、
団子屋の店へ引き返し、裏口に回る。

月の明るい晩。犬にほえたてられながら、
いきあたりばったり庭に忍び込むと、雨戸が突然スッと開く。

見ると、文金高島田に緋縮緬(ひじりめん)の長襦袢(ながじゅばん)、 
鴇(とき)色縮緬の扱帯(しごき)を胸高に締めた若い女が、

母屋に向かって手を合わすと、
庭へ下りて、縁側から踏み台を出す。

松の枝に扱帯を掛ける。言わずと知れた首くくり。
実はこれ、団子屋の娘のお亀。

多助あわてて、「ダミだァ、お、おめえッ」
「放してくださいッ」

声を聞きつけて、店の者が飛び起きて大騒ぎ。
主人夫婦の前で、多助とおかめの尋問が始まる。

父親のツルの一声で、無理やり、婿を取らされるのを苦にしてのことと分かって、
主人が怒るのを、太助、泥棒のてんまつを洗いざらい白状した上、

「どうか勘弁してやっておくんなせえ」、主人は事情を聞いて太助の孝行に感心し、
罪を許した上、こんな親孝行者ならと、
その場で多助を養子にし、娘の婿にすることに。

お亀も、顔を真っ赤にしてうつむき、「命の親ですから、あたくしは……」
これでめでたしめでたし。

主人がお内儀さんに、
「なあ、お光、この人ぐらい親孝行な方はこの世にないねえ」
「あなた、そのわけですよ。商売が大根(=コウコ、漬物)屋」。

多助の母親は、店の寮(別荘)に住まわせ、
毎日毎日、おかめ団子の食い放題。 

若夫婦は三人の子をなし、
家は富み栄えたという、人情噺の一席。

【うんちく】

モデルは実在の団子屋


文政年間(1818〜30)から明治30年代まで麻布飯倉片町に実在し、
「鶴は餅亀は団子で名は高し」と川柳にも詠まれた名物団子屋をモデルとした噺です。

おかめ団子の初代は初代は諏訪治太夫という浪人で、釣り好きでしたが、あるとき品川沖で、
耳のある珍しい亀を釣ったので、

女房が自宅の庭池の側に茶店を出し、
亀を見に来る客に団子を売ったのが、始まりとされます。

それを亀団子といいましたが、二代目の女房が オカメそっくりの顔だったので、
「オ」をつけておかめ団子。
これが定説で、看板娘の名からというのは眉唾のよし。

黄粉をまぶした団子で、一皿十六文と記録にありますが、
明治の三代目麗々亭柳橋の速記には五十文とあり、これは幕末ごろの値段のようです。





posted by 花井英男 at 17:45| 教養