2017年11月10日

詩人・文芸評論家 北川透先生講演会

愛知教育大学 学術講演会

詩人・文芸評論家 北川透先生 講演会

「蝶の行方―詩を読むこと、詩を書くこと」

日時  平成29年11月10日(金)15:00−16:30

会場 愛知教育大学 第二共通棟 421教室


主催  愛知教育大学 英語専修・専攻 



詩って何が面白いの? 詩なんて関係ないよ。
もしあなたが今そう思っていたら、この講演会に来てみませんか。

詩を読むこと、詩を書くことに若いころから心血を注いでこられた
北川透さんの言葉は、きっとあなたの日常に波動を越し、何か大切な
ことを知る機会になるはずです。



講師プロフィール

1935年碧南市生まれ。愛知学芸大学・国語科卒業。
豊橋で1962年から1990年まで、詩と批評誌「あんかるわ」を
編集発行し、詩作、批評の世界をリード。

下関へ移住し、梅光学院大学教授をつとめる。梅光学院大学の副学長も務めた。

「北川透・詩論の現在」全3巻で第3回小野十三郎賞、

詩集「溶ける、目覚まし時計」で高見順賞、

「中原中也論集成」で藤村暦程賞、

昨年6月、中日文化賞。現在「北川透現代詩論集」全8巻刊行中。

評論「谷川俊太郎の世界」など著書多数。




愛知教育大学 英語専修・専攻の道木一弘教授(文学博士)の司会で始まった。
詩をやっているということでいつか、北川先生を招きたいと思っていたと述べ、北川先生の業績を紹介をした。

道木先生は、現在刊行中の、分厚い「北川透詩論集」2冊を見せながら、学生諸君にレポートを書くのに皆さんは苦労しているだろうが、北川先生はこんな分厚い本をもう2冊出しましたと紹介した。

今年、大学院修士課程を修了した、成田重忠君が、北川氏と親しくしているということで、講演開催のために、北川先生との連絡・調整をして頂いたとお礼の言葉が述べられた。



成田君は、私の横の席で立ちあがり、皆さんに挨拶の会釈をした。学生たちが拍手をした。


大きな階段教室に、参加者は、英語専修、専攻の学生、院生など120名以上全員が参加しているようだった。

学生の構成は、ほとんどが女子学生ばかりという印象。勿論男子学生もいる。
会場は、女子学生の賑やかな甲高い声が響き渡っていた。
一般の人は、5〜6名位だろうか。知人のIさんがいた。成田君の知人が数人いた。


北川氏は学芸大学を卒業してちょうど60年になると言われた。
84歳という高齢を感じさせない口調であった。


卒論で、作品の最も少ない北村透谷を選んだ。ところが、文語体なので、理解できなくて、辞書もなく、買うお金もなかった。図書館にこもり、一生懸命作品を読もうとしたと、学生時代のエピソードを述べた。


透谷は、日本の抒情詩の最初の人物として、島崎藤村の先触れとして出現したと。透谷の詩は、抒情詩として、素晴らしい作品であると。藤村は透谷を兄のように慕った。藤村の若菜集の前に、透谷がいた。明治女学校で透谷と藤村は一緒に教えた。


明治元年に生まれた、透谷は、25歳で、うつ病で自殺した。自由民権運動などにも参加したが、運動に絶望した。キリスト教からは離れた。淡々と話をしていく。決して偉ぶらない。


北川先生は、温厚な人柄で、分かりやすい言葉で、話しかけるような口調だった。
成田君から、今晩は、北川先生の招きで食事を一緒にするから、帰りは失礼するとのことだった。


受付で、A4の資料が3枚配られた。

資料のno.1は、大岡信の詩と経歴。

No.2は日本の近代詩の中で蝶をモチーフにしたり、テーマにしたり、詩の場面に登場させている例として、「蝶の行方」―北村透谷、「ちょうちょう」―文部省唱歌、「蝶を夢む」―萩原朔太郎、

「春」―安西冬衛、芭蕉、其角、蕪村、一茶、子規、虚子、草田男、綾子、琵琶男、楸邨、槐多の俳句、「民俗学における蝶」、「ロマン的イロニーとは」。

No.3には、伊東静雄の「八月の石にすがりて」、中原中也の「一つのメルヘン」、「同時代人伊東静雄と中原中也の解説」。


蝶は、日本の詩歌で明治以降歌われている。どこから来てどこへ行くのか。
詩を書く時は時を意識する。
日常の時間とは、別の詩歌の時間がある。


「蝶の行方」という冠をかぶせ、時間の中にはいると面白い。
大岡信の詩の中の、「あなた」とは誰か。詩に出会ったということ。
詩の理解ということは100人読めば、百通りの解釈がある。詩は、行がえをする。


空白が出来る、詩は無言と沈黙を大事にする。空白を想像して読む。
いつのまにか、聴衆を詩の世界の中に引きこんでいた。小説は10書く、詩は2を書く。

分かりやすい言葉でぐんぐん引っ張っていく。
あっという間に時間の制限が来た。


道木先生は、35回、北川透先生の講義を集中講義で聞きたい位だと述べた。
参加者からお礼の拍手があった。本当に集中講義を受けたい気持ちだ。


帰りはキャンパスの中を歩いて、生協の売店へ行った。書店は昔と変わってしまった。大学のキャンパスの中にある、愛教大附属高校在勤中は、同じキャンパスなので、生協に来て、本を買った。キャンパスの校舎もすっかり変わってしまった。


前よりきれいになっていた。9年勤務した附属高校勤務時代から、25年ぶりくらいの訪問だ。
大学と知立間の道もすっかり変わった。郵便局がなかった。
刈谷ハイウェイオアシスが出来た。高速道路が出来ていた。時は流れた。


posted by 花井英男 at 20:07| 文学・芸術