2025年02月23日

「モンゴメリーの新婚旅行1911年〜『赤毛のアン』の英文学の土地へ」

中日文化センター講座  栄教室

「モンゴメリーの新婚旅行1911年〜『赤毛のアン』の英文学の土地へ」

講師:松本 侑子先生(作家・翻訳家/日本ペンクラブ理事)

2025年2月23日1:30〜3:00 

講座の本:イギリス物語紀行 松本侑子 幻冬舎文庫


久しぶりに、中日文化センターの講座に出席した。その理由は、松本侑子著の「赤毛のアン論 八つの扉」文春新書を最近読了し、その内容のすばらしさに感動したから。私は有名な「赤毛のアン」は日本語でも、英文でも読んだことがない。仕方がない。私は、かつて、サマセット・モームの翻訳を文庫本でほとんどすべてというほど読んだつもりだ。

友人の英文学者の久田晴則君(愛知教育大学名誉教授・ディッケンズ学の権威)に、サマセット・モームは大衆文学だと言われ、がっかりしたことがある。人格を否定された感じだった。モームは、中野好夫など一流の英文学者が翻訳していた。今は、立ち直っている。大衆文学だろうが何だろうが構わない。モームは、世界的文豪だ。

さて、昔、「赤毛のアン」村岡花子訳は、読んだ人から感動した読後感を数多く聞いた。尊敬する英語教育の学者・研究者から、モームの作品、「赤毛のアン」「アンネの日記」「武器よさらば」「アンクルトムの小屋」などの名作を英文で読むことをよく勧められた記憶がある。惟信高校時代の国語科の女性教員が、赤毛のアンの読後感感想を聞いたのを覚えている。

  私は85才になって初めて、赤毛のアンを読む気になった。松本侑子先生の著書を読んで、その気になった。松本先生は、8つの観点から「赤毛のアン」を論じている。ほれぼれする文章で書いている。

一の扉―エピグラフと献辞、二の扉―英文学、

三の扉―スコットランド民族、四の扉―ケルトとアーサー王伝説、

五の扉―キリスト教、六の扉―プリンスエドワード島の歴史、

七の扉―カナダの政治、八の扉―翻訳とモンゴメリー学会

 この8つのアプローチは、すばらしい。きわめて、当たり前の基本的なアプローチだと思う。このようなアプロ―チをした人が今まであるだろうか?

 これらのどの章も面白い。一気に読んでしまった。とにかく、面白かった。

今日の講座は、オンラインで東京から、松本先生が、三〇名くらいのすべての参加者の名前を呼んであいさつされた。

本日は、第二回。その内容は、モンゴメリーが、新婚旅行を二か月かけて、イギリスを旅行した。その中のイングランド編だった。モンゴメリーが愛する文学者の地へ。詩人ワーズワース、作家ブロンテ、劇作家シェイクスピアの地へ旅行した、日記に基づく、現地を松本先生が訪れた記録だ。

 内容と写真がとにかく素晴らしい。興味のあるものばかりだった。次回も参加したい。
 モンゴメリー学の始まりだ。新しい文学研究の始まりだと思う。
 モンゴメリーの作品は、英文学の基礎を抜きにしては考えられない、ということだ。

次回は、カップとソーサーを持参するように、事務局から言われた。ハスの実の紅茶の御馳走になるようだ。
 松本先生、対面の講義が聞ける。





posted by 花井英男 at 17:49| 文学・芸術

2025年02月07日

道木一弘特別教授(どうきかずひろ)愛知教育大学(文学博士・広島大学) 外国語教育講座 最終講義

道木一弘特別教授(どうきかずひろ)愛知教育大学(文学博士・広島大学)
外国語教育講座 最終講義

「ジョイスに愛はあるのか?―Ulysses and Education of Love and Sex」
外国語教室:研究分野:イギリス・アイルランド文学、物語論

キーワード:イギリス・アイルランド文学、ナラトロジー、物語論、頭韻とアナグラム

2025年2月6日(木)午後3時―4時半
愛知教育大学 431教室(3階)


学芸大学時代のクラスメイト、成田君(元県立高校長)から、最終講義の案内を聞いた。恩師でもなく、知り合いでもない、道木先生の最終講義を聞きに行った。ジョイスの研究者の話を聞きたい。成田君は8年前、大学院で習って、知り合いである。私は、道木先生がジョイス文学の研究者だということと、著書は,難解な文章で読みにくいという印象をもっている。

成田君に会えることもあり、時間より早く到着した。キャンパス、生協書店、図書館などを回って時間つぶしをした。学内の建物、キャンパス内の樹木は、なごみの持てる、いい雰囲気だった。学生たちの姿を見るのも楽しみだ。美術科の学生の作品の彫刻、キリンなどが学内の環状線の周りに配置されていた。愛教大は、学内に環状線の道路が走っており、その中と外に建物、専攻別に講義棟、事務局本部、学生向きの事務局、研究棟、宿泊施設、馬場、グランド、付属高校、植物園、保健センター、講堂、生協食堂、書店等がある。

図書館の入口では、美術科の井戸正真伸先生の数点の作品が、狭い空間の中で展示されていた。数少ない作品だが圧倒的で、印象的で、すばらしい。さらに、図書館の中に入ると、美術科の学生、院生の卒業・修了展の小さな展示場があった。学内の施設のピクトグラムの作品が面白かった。

生協書店では、幾冊か買いたくなるような題名の本に出合った。久しぶりに生協書店。付属高校に勤務したころ、よく利用した。学生向きに書籍の並べ方の工夫をしている。尾崎俊介先生(外国語教室)の「アメリカは自己啓発本でできている」平凡社を買った。中日新聞での紹介記事がおいてあった。糸井重里の推薦文が載っていた。本日の自分への褒美として買った。

3階の講義室は、大教室で、すでに学生、院生、外国語教室の先生、卒業生でにぎやかな雰囲気だった。250名位だろうか。成田君の姿を見つけ、挨拶してそばに座った。受付でA3の講義内容・3枚を受け取った。前の方の席に、外国語教室の先生たち(国立大学では文部教官)、卒業生、院生。後ろの方の席は、学生たち200名以上がぎっしり座っていた。

 成田君と私は学生たちの中に座った。外国語教室の先生の顔で分かるのは、尾崎俊介先生しかいない。最終講義のあと、卒業生の出席者が、質問で立った。県立高校に勤務しているという青年とか、卒業生で、福岡の大学に勤務している人が、長いスピーチをした。在校生から、花束の贈呈、院生から花束の贈呈、卒業生から花束の贈呈、写真撮影を学生たちがしていた。国立大学の教官の給与は、国家公務員の賃金は上がるが、上がらないという話を成田君はした。

司会の先生から、道木先生の紹介。道木先生の講義が始まった。講義が始まると、学生たちに質問をして、学生が答えると、爆笑が起きた。また、時々、学生たちから爆笑が起きた。ユーモアのある話をする方だ。著書とは全く違う。広島大学で、ジェームズ・ジョイスで博士号を取ったいきさつを述べた。どうせやるなら、難しい分野でやりたかったのでと。

 愛教大には、外国語教室には、昔、文学関係の教官が少なかった経緯を述べた。ようやく、ミルトン学の原田純先生(文学博士・名古屋大学)、ディッケンズ学の久田晴則先生(同級・友人)(広島大学・博士課程)がいたことに触れた。愛教大に、文学関係の教員が根付くようになった。私が在学した頃には、大橋勇先生、伊藤先生(チョーサー研究)、若いころの岩崎宗次先生(私たちの在学中は、リチャーズの翻訳・文芸批評理論の翻訳・新進の学者)(シェイクピアの研究者)(文学博士・名古屋大学)が、文学関係の先生としていたのかなあと思う。

A3、1枚の中にシンプルにまとめた内容が記してあった。同じ内容をパワーポイントで写した。
難解なジョイス文学のユリシーズのことが聞けるのはうれしい。意識の流れのまとめ。ユリシーズの構成。ジョイス文学における愛のかたち。など。成田君と春に温かくなってから、会おうということで、知立駅で別れた。バスの中で近況のことをお互いに話した。道木先生の講義内容のおさらいをしたい。











posted by 花井英男 at 12:31| 文学・芸術

2025年02月03日

フラッシュテクニックの治療効果ートラウマ治療の心理技法ー

フラッシュテクニックの治療効果について
―トラウマ治療の新しい心理技法―

―楽しい肯定的体験に基づいて、トラウマを克服―



昨年、12月、南和行先生が日本へ導入した、トラウマからの回復のための、フラッシュテクニックの研修を受けた。
 早速、瑞穂CBT相談室でも、ならい心療内科でも、トラウマを抱えるクライエントに紹介し実践をしています。
治療効果は大きい。

 特徴は、トラウマを抱えるクライエントの肯定的体験に気持ちを集中するという心理技法です。具体的に言うと、クライエントのリソースをもとに、トラウマを解消するということです。扱う問題として、過去のトラウマの体験を一言で言ってもらうだけです。詳しいことは触れてもらいません。ですから、 過去のトラウマ体験に没入することはありません。もっぱら、リソースのみ考えてもらいます。それだけです。

 楽しく解決できるという特徴があります。これなら、スクールカウンセラ−として短時間でも取り組むことができます。

 椎野智子先生(神戸親和大学教授・医学博士)と牧野有香里先生(心理学博士)も、フラッシュテクニックを推奨しています。
 椎野智子先生は、愛知学院大学大学院の同窓生として、ご活躍を期待しております。

 フラッシュテクニックは、リソースをもとにトラウマから回復をするが、リソースがなければどうするか。この場合、藤本昌樹先生のボディコネクト療法がある。つぼと眼球運動を使う。これも、開発されて、研修会が、東京と大阪で何回も行われいる。

 さて、私のトラウマ治療法の研修経歴を述べさせていただきます。

 私は、トラウマ治療のための心理技法として、まずは、EMDR療法の研修を受け、クライエントの数々のトラウマを解消してきました。

 次に、小栗康平先生開発(のちに新谷宏伸先生が発展させた)のUSPT療法の研修を受けて、数々のクライエントのトラウマの解消に努めてきました。解離性障害のクライエントには有効です。

 その後、トラウマからの解放の技法は、次々と開発され、ボディ・コネクト療法が、藤本昌樹先生によって開発されました。つぼと眼球運動によるもの。

 開発過程の順序・日本への導入過程はともかく、嶺輝子先生のホログラフィ・トークもあります。森川綾女先生のTFTにも関心を持ちました。

 日本で本当に、いくつか紹介・開発がされました。
 
 クライエントにとって朗報です。心理士にとっても朗報です。
  
 ここ数年のうちに、トラウマの心理療法は、大きく発展してきました。これからもきっと開発が続くと思いますし、クライエントのための新しい心理技法が出てくることを期待します。

 EMDR療法は、べーシックトレーニングのテキストが、新しくなりました。杉山登志郎先生のTSプロトコルも好評のようです。









posted by 花井英男 at 11:30| 心の病