2022年06月25日

アメリカ文学者大橋先生との出会いと別れ    講師:尾崎俊介氏

自著を語る  その10

アメリカ文学者大橋先生との出会いと別れ

2022年7月9日 土  14:00〜16:00

アンフォーレ本館 3階 健康支援室・講義室

講師:尾崎俊介氏

 
アンフォーレとは、
安城の「あん」と英語でひとつの意味を表す「an」を合わ「アン」、フランス語で森を表す「フォレ」を基にした「フォーレ」を組み合わせた造語

愛称はアンフォーレ。安城市図書情報館やホールがある本館(公共施設棟)、願いごと広場や公園などの公共屋外施設、民間経営による立体駐車場棟、民間経営による南館(商業施設棟)からなる。

講師:尾崎俊介氏
1963年、神奈川県生まれ。愛知教育大学教授。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士課程単位取得。専門はアメリカ文学・アメリカ文化。著書に『S先生のこと』
(新宿書房、第61回日本ネッセイスト・クラブ賞)、『ハーレクイン・ロマンス』(平凡社新書)、『ホールデンの肖像』―ペーパバックから見るアメリカの読書文化』(新宿書房)、『紙表紙の誘惑』(研究社)などがある。


以上は、友人、成田君(大学のクラスメイト、元県立高校長)からもらった、アンフォーレ主催の講演会案内文です。

成田君にお礼の電話を掛けた。大橋吉之輔については、愛教大附属高校に勤務中に、同療のNさんが、慶応の大学院出身で、よくエピソードを聞いたものだ。大橋ゼミ生だった。

その当時出た、有斐閣の、「アメリカ文学読本」を買って読んだ。飽きっぽい私は、その本は手元にもうない。興奮して読んだ覚えがある。あの本は取っておけばよかったと今思うがもう遅い。

Nさんは、安城東高校に転勤し、成田君とも知り合いだという。うれしい話がはずんだ。彼には会いたいと思っているが、連絡のしようがない。成田君の「英語を読む会」はアンフォーレの支援をいただき、今回の講演会につながったという。

尾崎俊介先生は、著書『S先生のこと』以来のことです。『S先生のこと』は、感動的な本だった。もう一度読みたい。『S先生のこと』を書いた後は、尾崎先生は、恩師の大橋吉之輔先生のことを書きたいと思い、原稿は出来ていたが、今時の出版事情から、引き受けてくれる出版社がなく、7年の粘りからようやく、出版にたどり着いたと述べている。

尾崎先生の著書は正確に言うと、『エピ―ソード・アメリカ文学者大橋吉之輔エッセイ集』大橋吉之輔著 尾崎俊介編  発行所 トランスビュー。
瑞穂図書館で借りた。私は、一気に面白いところを読んだ。この本は、大橋吉之輔のエッセイと、尾崎先生の大橋吉之輔についてのエピソードから成り立つ。

私は、真っ先に、エピ―ソードをむさぼるように読んだ。学者の師弟関係でこんなことが今時あるのかと思う。それくらい、師弟の信頼関係が成り立っていたんだ。恩師への尊敬の念と、ほとほとうんざりする面も出てくる。うんざりする面はもう懐かしいのかもしれない。

エピソードは、全部で16から成り立つ。初めに、「小伝 大橋吉之輔先生」に始まり、「東大時代の先生」から始まり、「大橋二等兵」、「大橋ゼミ」、「大橋先生の文学論」、「先生の、そして私の『ライ麦畑で捕まえて』、「大橋先生と翻訳」、「大橋先生の『アンダスン愛』、「先生と車」、「李さんのこと」、「恵泉女学園時代」、「入院中の先生」、「シカゴへの旅」、「私の就職問題」、「絶筆」からなる。これは、「大橋吉之輔の伝記物語」だ。

 すばらしいことも、醜いところも洗いざらい楽しく書いている。愛情をこめて、うんざりするところも隠さず書いている。大学教授とはこんなものだと、尊敬の気持ちを込めて書いている。先生に対する敬意、愛情がなければ書けないだろうと思う。弟子からこんなに愛された先生は幸せだ。

尾崎先生は、話の展開がうまい。話上手だ。だからついつい引き込まれてしまう。今度の講演会が楽しみだ。

 大橋吉之輔先生は、戦後のアメリカ文学の建設というか、創造の主役を果たした研究者であると思いました。日本は、戦前まではイギリス文学主流だったと思われる。

 戦後、アメリカが世界をリードする時代となり、世界支配というと大げさであるが、経済的にアメリカが世界をリードする時代になった(こういう表現はしたくないが)。

 その中で、アメリカ文学研究が大きなウェイトを占めるようになったと思われる。その基礎を築いたと思われる。戦後のアメリカ文学研究の様子が描かれている。学者の交流、不仲、評判などが出てくる。週刊誌的な興味半分の記事もある。とにかく面白い。

 







posted by 花井英男 at 12:28| 文学・芸術