2017年04月29日

ジョン・キーツの詩を読むーイギリスロマン派の感性と文体

中日文化センター

ジョン・キーツの詩を読む
―イギリスロマン派の感性と文体―

講師 名古屋大学名誉教授 岩崎宗治先生(文学博士)

テキスト 「キーツ詩集」イギリス詩人選(10)

宮崎雄行編(岩波文庫)

開講日 第1回2017年4月13日(木)、
第2回 4月27日(木)
13:30〜3:00

覚え書



今年も、岩崎先生の講座が始まった。自分一人ではなかなか読めない詩集が、同好の人たちと読める。メンバーは、昨年度の「アメリカ詩を読む」の参加者の常連ばかりだ。もう一人、3年間休んでいた、常連が参加した。
N君だ。大学院でディラン・トマスの作品について、修士論文を完成し、この3月に大学院を修了したことを先生は皆さんに紹介した。

先生の愛知学芸大学時代の教え子である、N君と私ともう一人、H君を紹介した。
先生がまだ、20代後半の年齢の時に、非常勤で教えに来ていて、大学3,4年と指導をして頂いた。


岩崎先生は、岩波新書の「シリア情勢」を最近読んだと言われた。



第1回4月27日(木)
ハンドアウトは、
@ 「パルナッソス」の絵
ラファエロ作
「イタリアルネッサンスの巨匠たちより」20(東京書籍1995)
ヴァチカン宮殿、署名の間にあるという。

A ジョージ・チャップマンの肖像

B Endymionの短い解説文

の3点。



エンディミオンの解説文には、キーツの有名なnagative capabilityの趣旨の内容が出ている、と思われる。



第1回の詩は、3つのソネット(14行詩)。

(1) ‘On First Looking into Chapman’s Homer’
「はじめてチャップマン訳[1616]のホーマーを読んで」


キーツ、20歳の時の初期の佳作。
イギリスを始め、欧米の人たちは、ギリシャ・ローマ神話に親しんでいる。

キーツは、ホーマーを読み、詩歌の神としてのアポロに仕える詩人たちの数ある島々を訪ねた感激を記している。
チャプマン訳のホーマーに感激して詩を書いた。

ハンドアウト、ラファエロの「パルナッソス」は、アポロンとミューズの居住地であり、
古代神話に伝えられる詩のありかを表現したものという。

詩作品の鑑賞には、パルナッソスは大切なものだと思われる。
この絵には、古代の詩人たちが描かれている。

ペトラルカ、サッファオー、アポロン、ホメロス、エンニウス、ダンテ。

日本人にはなじみのないものばかりだ。

ちょうど、日本人の俳人、歌人、作家などが、中国の漢詩、昔の歌人たちの作品を読みこなし、引き合いに出して、自分の作品の中に歌いこむように、キーツでも、シェイクスピアも欧米の作品には、ギリシャ神話を引用する。


(2) ‘On the Grasshopper and Cricket’
「キリギリスとこおろぎ」


この詩には、同じ趣旨の文2度出てくる。

The poetry of earth is never dead.
大地の詩はついに絶えることはない。

The poetry of earth is ceasing never.

大地の絵はついにやむことはない。
が出てくる。

平凡な題材、キリギリスとこおろぎでソネットを作る。
虫の鳴く音を詩歌に歌った。
リー・ハントが、Bravo Keats!と評した。

(3)‘After dark vapours have oppressed our plains’
「暗い雲霧が野に垂れこめたのちに」


イギリスの3月、4月は、暗い季節だという。
長いわびしい季節だと。

5月は、清々しくなり、すべてがよみがえり、5月の気配はこの上なく静かな思いが廻ってくるという。
植物の生成・成熟のイメージを詩作品にした。

最後の行に、ギリシャ神話のサッフォーが出てくる。
「麗しいサッフォーの頬―眠る幼子の息遣い。」

岩崎先生は、イギリス滞在中の暗い冬から春の訪れの季節感を述べた。
チョーサーのカンタベリー物語の中の、イギリスの5月の喜びを書いた、

‘March wind and April showers bring forth May flowers.’
を紹介した。

岩崎先生は、参考書として、「キーツ書簡集」、大和資雄訳「エンッディミオン」小川和夫のキーツの伝記を紹介した。



第2回  2,017年4月27日
本日のハンドアウトは、

@ キーツのエンディミオンの訳詩集、西山清訳の表紙の絵。

Aエンディミオンの訳詩集は、

大和資雄訳1949、岩波文庫、

出口保夫訳1974岩波文庫、

西山清訳、鳳書房2003、

3つを紹介した。


B「パーンとシュリンクス」プーサン作
ドレスデン美術館
である。


読者論
      受容美学
      アダプテーション
      黒沢明
      王位継承
      フランケンシュタインの受け止め方
      水のイメージ

Text

     Author
     時代
     テキストの解釈


次の本を紹介。
「キーツの伝記―人と文学―」2005 富田光明著 勉誠出版


ソネットは14行詩である。
ソネットの構造は、4,4,4,2か
4,4, 3,3で、
起承転結の構造を持つ。



(4) ‘On the Sea’
「海について」


ソネット
海のイメージは、ここでは、海は、荒れ果てた岸を巡り、永遠に呟き続け、
巨大なうねりで、沢山の洞窟に押し寄せ、ヘカテの力が気味の悪い音を残す。

また一方、穏やかな海で、貝殻が幾日も移動せずにそのままの場所にいる静けさがある。
疲れている人は、俗悪な喧騒に悩み人は、或いは、聞き飽きた調べに飽き飽きしている人は、古い洞門のほとりで座し、海の妖精の合唱を聞くがよい。

海のうねり、動かない貝殻、疲れた人の安らぎ。

の3つのイメージ。
海のmysterious powerが 、
疲れた人を癒す。


キーワードは、Hecate。

キーツは、早くから、海を好んだ。疲労を忘れ、広々として開けている、別世界の自然として歌われている。
へカティ(Hecate)は、潮の干満を司る女神として出てくる。


Hecateはシェイクスピアの「マクベス」にも出てくると指摘する。

ここにも、ギリシャ神話が出てくる。


(5)From Endymion   (1)T, 1-33
「エンディミオン」より
(1) 第1巻(第1-33行)


   エンディミオン―物語詩

    ギリシャ神話の物語。22歳の作。
    Endymion少年が月の女神に愛される。第1巻は、美と地上の生の関連、地上の探求。出だしは有名。
    冒頭の5行。

「美しいものは永遠に喜びである。
その美しさは広がりゆき、決して
無になることはなく、絶えず
人に静かな木陰と 美しい夢に満ちた眠り
健やかさと穏やかな息吹を 与え続ける。」



先生の講義によれば、
我々は、passiveにならないと、世界を受け入れることはできない。
世界は内面化されると、無時間。

内面化世界では、時間はない。
以上は、キーツのNegative capability。

自分をなくして、passiveにする。
世界を自分と一体化する。
美しいものは永遠である。


Man+beauty=unification=lifeということも白板に書かれた。

講義の後は、3人が2階のモンブランでお茶会をする。お互いが知りたいこと、疑問に思っていること、聞きたいことを思う存分に話す。教えてもらうこともある。感想を述べ合う。耳を傾ける。

斉藤勇の英文学史をいまだに持っていると、Iさん。大学生時代に、キーツのエンディミオンについて、同人誌「ディレクション」に文章を書いたが知っているかとN君に訊ねられた。忘れていた。すごい!と思った。是非読ませてほしいと頼んだ。

英語の俳句とはどういうものかとN君に教えてもらった。3行詩の形であり、15シラブルだと。季語にはとらわれない。さらに、山頭火などの自由俳句についても話は及んだ。

栄のギャラりーでの高校のクラスメイトと、N君たちが開いた展覧会も話題になった。N君の写真の腕前をほめた。詩人としてのN君の詩に感想を述べた。


終わり



















posted by 花井英男 at 10:29| 文学・芸術

2017年04月24日

第2回  USPT研究会 ワークショップ 東京

第2回USPTワークショップ


2017年4月23日(日)
日程 9:30受付開始 10:15開会 16:30終了

会場 大田区産業プラザ PiO 1階 「講義室A・B」

東京都大田区 (京急蒲田駅より徒歩約3分)


ワークショップ・プログラム

第1部 USPTの基本

クライアントへの説明モデル
小栗康平 講義 USPTの基礎

症例報告 (新谷宏伸,十寺智子, 花井英男)

十寺智子、花井英男は 内在性解離(OSDD)の症例、新谷宏伸は、DIDの症例

ロールプレイ& ペアで実技演習



第2部 USPTの実践

デモン ストレーショデモン

ペアで 実技演習

実技に関する質疑応答


第3部 USPT総合討論・質疑

パネル・ディスカッション
質疑応答 & まとめ


1月29日(日)に第1回USPT研究会ワークショップが、名古屋市立大学医学部研究棟で開催された。
その内容とほとんど共通の内容で、東京で行われた。



今回、医師、臨床心理士、児童指導員、学生相談室カウンセラーなどが沢山参加した。

新しい参加者が増え、心理臨床、医療臨床において、理解され、実践が積み重ねられることが期待されます。

参加者は皆さん熱心に質問され、理解が深まったと思います。



長谷川メンタルヘルス研究所の方が、「参加しましたよ」と挨拶に来て頂きました。
有難うございます。

医療・心理臨床の場において、DSM−5のOSDD(内在性解離)、DIDについては、長い間、診断と治療が行われてこなかった経緯がある。


小栗康平先生が、内在性解離の診断、概念を著書、論文、学会において、提案されてきた。
内在性解離とDIDの治療をUSPTという、日本発の治療法を具体的に提案されてこられました。

内在性解離は、DSM-Xにおいて、OSDDとして記述されている。

今迄、トラウマ体験、辛い体験をした患者に対する、治療法は、行動療法、EMDRなどによって対応されてきた。

これだけでは、不十分だと、心理、医療臨床の関係者は、実感されているだろう。




USPTという心理療法が、小栗康平先生によって、開発され、「症例X]、「人格解離」など著書によって、また、雑誌「精神科治療学」、日本精神神経学会、日本EMDR学会等学会において演題発表された。



更に、新谷宏伸先生(USPT研究会理事長)によって、雑誌「精神科治療学」、日本社会精神医学会、日本精神神経学会などにおいて、演題発表された。


新谷宏伸先生は、2017年6月下旬に、名古屋国際会議場で行われる、日本精神神経学会において、
次のように、シンポジュームの開催を予定されています。

[シンポジウム] 解離性同一性障害の診断と治療
―実臨床の勘どころと ピットフォール― 

コーディネーター・司会:新谷宏伸,中口智博
シンポジスト:小栗康平,黒崎成男,新谷宏伸,井上悠里

USPT研究会の理事&メンバーが発表します。

森田療法学会においても発表されます。医療関係者、心理関係者に広く広がることが期待されます。

終わり








posted by 花井英男 at 11:46| USPT研究会

2017年04月21日

2つの美術展を見る

家内と2つの美術展に行った。

春の院展 
名古屋松坂屋美術館
2017年4月20日(木)



いつもながら、院展の絵は、抽象画が少なく、具体的な絵なので、見やすい。分かりやすい。好きな絵は、風景画だ。
特に好きな絵は、田淵の作品。
風景画で、展望できる風景画。
田淵俊夫  「明日香心象 好日」

記念に田淵の絵のクリアファイルを買った。



瑞陵ポプラの会作品展
日時  平成29年4月21日(金)
場所:栄サンシティビル1階 サンシティギャラリー


県立瑞陵高校時代の友人たちが、クラスメイトが趣味の作品展をしようということで今年で3年目だという。
昭和33年卒業生。皆、喜寿を迎える。77歳前後の幸年令者ばかりだ。よく頑張っている。


在学当時もあった、現在もある、玄関付近のポプラ並木の写真を載せた、作品一覧表をもらった。

どうしても、話が弾んでしまう。当番で会場にいた、奥村君と賑やかに話をしてしまう。普通の展覧会では出来ないことだ。同じく当番の大角君と話をする。昔の面影など忘れてしまっているが、気さくに話が出来る。

出品作品と作品


水彩画  若山好子
植物画  恒川三和
油彩画  大角喬男

油彩画  奥村 忠
油彩画・版画 田川知子
木彫  杉浦義人
ソネット詩・写真 成田重忠


作品は、どれも力作ばかりだ。毎年、力量がアップしていると思う。プロ級の絵もある。


奥村君の風景画「白糸の滝」、「陣馬の滝」の絵は、欲しいと思ったくらい。
奥村君は、成田君の大学院でのイギリス詩、ディラン・トマスの作品研究の意気込みを聞いたと。

水彩画をやっている家内と奥村君、大角君との会話が弾む。
若山好子さんの「秋景」は大好きな絵だ。展望のきく遠景の風景画。

成田君の、ソネット(14行詩)「人の形」の詩作品を囲む、11枚の中国での写真はすばらしい。
詩人、英文学者である成田君の作品はすばらしい。
ソネット詩はわかりやすいようで分かりにくいと思う。何を語ろうとするのか?何を伝えようとするのか?

一部を引用する。

日常と日常の綱渡り
風景と風景の綱渡り
「人の形」は半眼になる
出るはずのない涙を流す



写真は心温まるものばかり。
街の風景、幼子、老人、竹林、路上の出店など。ほのぼのとする風景。心休まる写真。
人柄がほのぼのと伝わる。
成田君は、写真展で入賞したという実績を持つ。

杉浦君の木彫は愛着のある作品ばかり。日常生活で使う手鏡、はがき入れ、時計の文字盤など。

また来年の作品展を楽しみにしている。

終わり



posted by 花井英男 at 17:36| 文学・芸術