2016年08月26日

中日文化センター アメリカ詩を読む 覚書

中日文化センター
アメリカ詩を読む
講師:岩崎宗治先生 名古屋大学名誉教授 文学博士

テキスト:岩波文庫・アメリカ名詩選 亀井俊介・川本晧嗣編
2016年8月25日(木)の講義 覚書



講義の前の話
次回のテキストWallace StevensのSunday Morningの資料・ハンドアウトの説明。
先生によれば、Sunday Morningが一番良い詩。次回の講義が楽しみだ。
1960年8月号の「英文科手帖」垂水書房、58−63頁の、岩崎先生の「日曜日の朝」の訳詩と解釈の抜き刷りの説明。


今から、56年前の、先生が30歳前後の時の玉稿である。
スティーブンズの訳詩と解釈を発表した時、「今頃、スティーブンズをやる人は、いい人だ」と、高く評価を受けた。先生の自信作のようだ。

先生がこれほど、詩に打ち込んでいるとは知らなかった。
I.A リチャーズの「文芸批評の原理」とか、「科学と詩」も当時、訳された。
先生の「文芸批評の原理」は垂水書房から出て、皆売り切れた。


ちょうどこの頃、私は愛知学芸大学3年で、岩崎先生の講義I.Aリチャーズの「Science and Poetry」の購読の講義を受けていた。
垂水書房から「文芸批評の原理」が、毎月、部分訳が出て、先生から購入したことを覚えている。
その英文科手帳・八月号の目次に、吉田健一が「ハムレット」、加納秀夫の「作品とインパクトの問題について」、黒沢茂の「少女の日記」が出ている。
一流の英文学者の名前が出ている。


当時、若手の英文学者としての岩埼先生の授業が楽しみだった。卒業してからも先生を尊敬していたので、久田晴則君(当時愛教大教員・現愛教大名誉教授)と先生の岡崎の家にケーキを持ってお邪魔した。

先生は、垂水書房の社長から聞いた、このころの、吉田健一のエピソードを話された。
垂水書房の出版社の社長に「おやじに会いに行くのだけど、子どもの靴下を買うお金がないので、お金を貸して欲しい」と吉田健一が頼んだという。社長は、吉田健一が吉田茂首相の息子だということを知らなかった。健一は飲んでお金を使ってしまう人だったようだ。



本日は、先生持参の「アイスクリームの皇帝」柴田元幸訳の本、河出書房新社、1900円を皆が回覧して見た。
これは、英文学者・柴田元幸が選んだ22の英米の詩を翻訳したもの。英和対訳。きたむらさとしの絵がついている。Poetry in Pictures。






[38]The Snow Man Wallace Stevens
雪の男    ウオレス・スティーヴンズ


スティーブンズは保険会社の社長だった。人間は、統計学的にゼロになるもの。

Snow manは雪だるま、溶けてしまう。人間の命は、はかないもの。溶けてなくなるもの。人生観、死生観を持つ。

最後の行の
聞くものは、雪の中で耳を傾け、
わが身も無と化して、そこにないものは
何も見ず、そこにある「無」を見つめるのだ。


簡潔で、いい詩だ。


[39]The Emperor of Ice-Cream
Wallace Stevens
アイスクリームの皇帝    ウオレス・スティーヴンズ


解説に、「スティーブンズの詩は、この世に生きる歓びに満ちている。
略、死を恐れたり、回避したりせず、むしろ存在の自然な一部として死を受け入れ、そうすることによって、かえって生の輝きを増す方向に働く。略、あるべき弔いの仕方を説いている。」

最初に、アイスクリームを作る場面。娘どもは普段着で、のらくらし、
若者たちは先月の新聞紙で花を包んでくる。


「存在」が「みかけ」のフィナーレである。
この世の皇帝はただひとり、アイスクリームの皇帝だ。


先生は、「存在」が「みかけ」のフィナーレである。
に関連して、HamletのT.A.72-76の詩を引用した。

参加者の女性もそれを指摘し、Hamletの原書を持参した。
すごいと思った。先生の教え子だ。

Beはreality seemはappearance.

詩のタイトルとしては面白い。
死をcommonとして受け入れる。この世を支配するものは、appearance.はかないもの。
アイスクリーム(はかないもの)が支配している。

はかなさ。 果敢なさ。 儚さ。という漢字がある。

Transitoriness ephemerality

人生の儚さの詩。ユーモアを超えて。
儚く消える命。アイスクリーム。

イギリスの教会の僧侶の墓の言葉。これぐらいのラテン語は読めると先生は思った。
Sic transit goloria mundi

最後の行は、格言的なもの。
The only emperor is the emperor of icecream.
Maxim epigram



[40] Disillusionment of Ten O’clock Wallace Stevens

十時の幻滅       ウオレス・スティーヴンズ  


家々には、夜な夜な
白いナイトガウンが出没する。

解説には、日常生活がいかに色彩に乏しいか、いかに想像力を欠いているかを指摘。

Ringはキリストとか仏のリング。

3−8は、形にはまった白いガウンばかり、物足りない。

12−15  社会のはみだし者のような酔っ払いの船乗りの方が、奇想天外な冒険を楽しむ想像力を持つ。

酔っぱらて、ブーツのままで眠りこけ、
赤い天候のもとで
トラをとらまえるだけ。



先生は、現代人は孤独を指摘。
「老人と海」を指摘。
シニカル。Cynical.



[42]Anecdote of the Jar Wallace Stevens
壺の奇談       ウオレス・スティーヴン


想像力は世界を変える。崇高なもの。

解説には、混沌とした現実に秩序を与える想像力の働きをうたう。



全部の詩を済ませた後、先生は、参加者全員にどの詩が好きかと聞いた。


終わり



posted by 花井英男 at 07:29| 文学・芸術

2016年08月21日

長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典と児童合唱「あの子」の歌詞

長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典

長崎市では毎年原爆投下の8月9日に、今年も平和公園の平和祈念像前において、原爆犠牲者の霊を慰め、長崎

原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が開催された。

この席上での長崎市長の平和宣言が、発表された。素晴らしい内容です。



安倍政権は、いかにも平和を追求しているようなふりをして、

核兵器廃絶を訴えながらも、一方では核抑止力に依存する立場をとっています。

今年の長崎市長の平和宣言を下記に全文引用しました。安倍政権の

好戦的な姿勢は、とても平和を求める姿勢ではありません。






長崎平和宣言



核兵器は人間を壊す残酷な兵器です。
1945 年8 月9 日午前11 時2 分、米軍機が投下した一発の原子爆弾が、上空でさく裂した瞬間、
長崎の街に猛烈な爆風と熱線が襲いかかりました。あとには、黒焦げの亡骸、全身が焼けただれ
た人、内臓が飛び出した人、無数のガラス片が体に刺さり苦しむ人があふれ、長崎は地獄と化し
ました。


原爆から放たれた放射線は人々の体を貫き、そのために引き起こされる病気や障害は、辛うじ
て生き残った人たちを今も苦しめています。
核兵器は人間を壊し続ける残酷な兵器なのです。
今年5 月、アメリカの現職大統領として初めて、オバマ大統領が被爆地・広島を訪問しました。


大統領は、その行動によって、自分の目と、耳と、心で感じることの大切さを世界に示しました。
核兵器保有国をはじめとする各国のリーダーの皆さん、そして世界中の皆さん。長崎や広島に
来てください。原子雲の下で人間に何が起きたのかを知ってください。事実を知ること、それこ
そが核兵器のない未来を考えるスタートラインです。


今年、ジュネーブの国連欧州本部で、核軍縮交渉を前進させる法的な枠組みについて話し合う
会議が開かれています。法的な議論を行う場ができたことは、大きな前進です。しかし、まもな
く結果がまとめられるこの会議に、核兵器保有国は出席していません。そして、会議の中では、
核兵器の抑止力に依存する国々と、核兵器禁止の交渉開始を主張する国々との対立が続いていま
す。

このままでは、核兵器廃絶への道筋を示すことができないまま、会議が閉会してしまいます。
核兵器保有国のリーダーの皆さん、今からでも遅くはありません。この会議に出席し、議論に
参加してください。


国連、各国政府及び国会、NGO を含む市民社会に訴えます。核兵器廃絶に向けて、法的な議論
を行う場を決して絶やしてはなりません。今年秋の国連総会で、核兵器のない世界の実現に向け
た法的な枠組みに関する協議と交渉の場を設けてください。そして、人類社会の一員として、解
決策を見出す努力を続けてください。


核兵器保有国では、より高性能の核兵器に置き換える計画が進行中です。このままでは核兵器
のない世界の実現がさらに遠のいてしまいます。
今こそ、人類の未来を壊さないために、持てる限りの「英知」を結集してください。


日本政府は、核兵器廃絶を訴えながらも、一方では核抑止力に依存する立場をとっています。

この矛盾を超える方法として、非核三原則の法制化とともに、核抑止力に頼らない安全保障の枠
組みである「北東アジア非核兵器地帯」の創設を検討してください。核兵器の非人道性をよく知
る唯一の戦争被爆国として、非核兵器地帯という人類のひとつの「英知」を行動に移すリーダーシッ
プを発揮してください。


核兵器の歴史は、不信感の歴史です。

国同士の不信の中で、より威力のある、より遠くに飛ぶ核兵器が開発されてきました。

世界に
は未だに1 万5 千発以上もの核兵器が存在し、戦争、事故、テロなどにより、使われる危険が続いています。
この流れを断ち切り、不信のサイクルを信頼のサイクルに転換するためにできることのひとつ
は、粘り強く信頼を生み続けることです。


我が国は日本国憲法の平和の理念に基づき、人道支援など、世界に貢献することで信頼を広げ
ようと努力してきました。ふたたび戦争をしないために、平和国家としての道をこれからも歩み
続けなければなりません。



市民社会の一員である私たち一人ひとりにも、できることがあります。国を越えて人と交わる
ことで、言葉や文化、考え方の違いを理解し合い、身近に信頼を生み出すことです。オバマ大統
領を温かく迎えた広島市民の姿もそれを表しています。

市民社会の行動は、一つひとつは小さく
見えても、国同士の信頼関係を築くための、強くかけがえのない礎となります。
被爆から71 年がたち、被爆者の平均年齢は80 歳を越えました。世界が「被爆者のいない時代」
を迎える日が少しずつ近づいています。戦争、そして戦争が生んだ被爆の体験をどう受け継いで
いくかが、今、問われています。


若い世代の皆さん、あなたたちが当たり前と感じる日常、例えば、お母さんの優しい手、お父
さんの温かいまなざし、友だちとの会話、好きな人の笑顔…。そのすべてを奪い去ってしまうの
が戦争です。


戦争体験、被爆者の体験に、ぜひ一度耳を傾けてみてください。つらい経験を語ることは苦し
いことです。それでも語ってくれるのは、未来の人たちを守りたいからだということを知ってく
ださい。


長崎では、被爆者に代わって子どもや孫の世代が体験を語り伝える活動が始まっています。焼
け残った城山小学校の校舎などを国の史跡として後世に残す活動も進んでいます。


若い世代の皆さん、未来のために、過去に向き合う一歩を踏み出してみませんか。
福島での原発事故から5 年が経過しました。長崎は、放射能による苦しみを体験したまちとし
て、福島を応援し続けます。


日本政府には、今なお原爆の後遺症に苦しむ被爆者のさらなる援護の充実とともに、被爆地域
の拡大をはじめとする被爆体験者の一日も早い救済を強く求めます。


原子爆弾で亡くなられた方々に心から追悼の意を捧げ、私たち長崎市民は、世界の人々ととも
に、核兵器廃絶と恒久平和の実現に力を尽くすことをここに宣言します。
 
 2016 年(平成28 年)8 月9 日
長崎市長  田 上 富 久


最後に児童合唱の歌詞を引用します。



「あの子」は永井隆博士の作詞です。

あの子

永 井   隆 作詞
木 野 普見雄 作曲

1.壁に残ったらくがきの
  おさない文字のあの子の名
  呼んでひそかに耳すます
  ああ あの子が生きていたならば

2.運動会のスピーカー
  きこえる部屋に出してみる
  テープ切ったるユニフォーム
  ああ あの子が生きていたならば

3.ついに帰らぬおもかげと
  知ってはいても夕焼の
  門に出てみる葉鶏頭
  ああ あの子が生きていたならば


おわり
posted by 花井英男 at 16:47| 戦争・平和

2016年08月19日

ワークショップの案内です。

催眠関係のワークショップ

USPT関連のワークショップのみ案内させていただきます。
主催 日本催眠学会  第32回学術大会

日程:2016年10月1日(土)

9:00 ワークショップの受付開始
9:30〜11:30  「人格統合法USPTを催眠に取り入れる」

講師: 新谷宏伸先生(USPT研究会理事長/精神科医・本庄児玉病院)
講師: 十寺智子先生(USPT研究会理事/心理療法研究室スアラロハニ代表)

会場:東京大学 本郷キャンパス・医学系教育研究棟13階セミナー室


申込期間:2016年8月9日(火)〜9月5日(月)
参加費:3000円
会員、非会員、学生を問わず一律です。



申込方法:@氏名、A氏名(フリガナ)、B電話番号、Cメールアドレス、D職業、E勤務先名、F学術大会・懇親会・ワークショップの参加費を明記し、メールで
saimin@h-academy.com
までお申し込みください。

メールのタイトルを「ワークショップ参加」としてください。
追って参加費の振込先などをメールでご連絡致します。


詳しくは、下記をご覧ください。


2016年10月1日(土)、
第32回 日本催眠学会学術大会で、USPTのワークショップが開催されます。

http://32saimin-gakkai.kenkyuukai.jp/special/?id=21806

ワークショップ 『人格統合法USPTを催眠療法に取り入れる』
講師:新谷宏伸(USPT研究会 理事長/精神科医・本庄児玉病院)
   十寺智子(USPT研究会理事/心理療法研究室スアラロハニ代表)

会場:東京大学 本郷キャンパス・医学系教育研究棟13階 セミナー室

http://32saimin-gakkai.kenkyuukai.jp/special/?id=21806
詳細・お申し込み方法は、学会のサイト↑ をご確認ください。

 


posted by 花井英男 at 11:06| 研修