2016年07月31日

クリストファー・リー博士によるEMDR特別セミナー

クリストファー・リー博士による特別セミナー
「EMDR:複雑性トラウマとパーソナリティ障碍への対応」
講師:クリストファー・リー博士
通訳:大澤 智子氏

2016年7月30日(土)10:00〜17:00

東京 西巣鴨 大正大学2号館
主催 東京EMDR開業者協会(TAPPE)



前日まで(7月下旬)横浜での国際心理学会の招待講演者として、来日した。
招待者は市井雅哉日本EMDR学会理事長。日本心理臨床学会の招待であった。

いつもながら、大澤さんの素晴らしい通訳だった。
オーストラリアの大学准教授として勤務し、開業心理士としての実践経験に基づく研究発表だった。ヨーロッパの実践的研究者と提携もしていた。


トラウマ記憶を7〜8つの円形の中のパイを作成することを目指す。複雑性PTSDのクライエントは、幼少年時代にトラウマを抱えることが多いと指摘する。

円の中に、3つのパイをクライエントからエピソードを聞いて、詳細に、@出来事&感覚、A個人的意味・信念・NC、B情動&行動反応を詳細に作っていく。


太田さん(東京EMDR開業者会)がクライエント役として、登場し、リー博士は、白板に詳細にパイを作成する実演をした。8つくらいの円にパイを作成した。その時、どんな情動だったか、どう思ったかなど詳細に聞いていた。

記憶マップの作成の手順
脱感作の前に、記憶マップ・円形パイの作成をする手順の説明がされた。
中核信念を変えるために、自己、他者、世界に関する中核信念、予測、否定的自己評価に関する陳述の例の提示。

7枚のパワポの資料と、17頁に渡る資料が出た。

行動療法のPEとEMDRによるトラウマ処理の違いが脳科学の立場から、明瞭に出ることが指摘された。

残りについては省略。

伝統のある大正大学の静かなキャンパスは、10階建ての高層ビル群のキャンパス。静かな庭のある落ち着いた雰囲気である。大学食堂での昼食が楽しみであったが、あいにく閉店だった。食堂は「じきどう」と読むと説明があった。仏教系4宗派合同の大学だという。仏教に関心を持つので興味深い。東京駅から近いので楽だった。大学内では、心理臨床研修が行われていた。






posted by 花井英男 at 21:32| EMDR

2016年07月29日

中日文化センター アメリカ詩を読む  講義の覚書

中日文化センター

アメリカ詩を読む
講師 岩崎宗治先生 名古屋大学名誉教授 文学博士
テキスト アメリカ名詩選 (岩波文庫) : 亀井 俊介, 川本 皓嗣編
2016年7月28日(木)の講義  覚書



フロストの詩の講義の前に、岩崎先生は、次のように述べた。
フロストは、アメリカの国民的詩人。日本では、松尾芭蕉、新体詩の島崎藤村だろうか。西脇順三郎も考えられる。日本では誰が国民的詩人だろうか?イギリスでは、シェイクスピア。アメリカでは、ホイットマン、ディキンスン。


ケネディ大統領(1917年- 1963年)の就任式の時(1961年1月20日)、
フロスト(1874年- 1963年)は就任式に呼ばれた。

フロストは、新しく伝統的なものを書いた。エマスンとは違うもの。
オバマ大統領の来日の時、川本 皓嗣(英米文学者)が祝宴に呼ばれて、オバマと、フロストの詩の話が弾んだ。

日本の政治家で、詩人の話が出来るとか、シュールリアリズムについて、外国の学者と話が出来る人は誰がいるだろうか?と話された。

宮沢喜一だろうか?彼は若い頃、アメリカの留学し、教養があり、外相の時、答えにくい問題を持ちかけられた。そばにかかっている絵を見て、「この絵は、ここがすばらしい」と言って、いなしたという。

教養があれば、そういう芸が出来る。

フロストは単語の使い方が正しい。


(29)Mending Wall         Robert Frost

塀直し  ロバート・フロスト


New England の田舎風景。農夫の生活。リンゴ園と松林の間の塀。
人間の社会を作っている倫理が成立し、stonewall.
お互いが境界を守って争いが起こらぬようにしている。それだけのこと。旧石器時代の人間。人間という言葉の中に何万年と昔の人間がつながっている。秩序、伝統をフロストは見ている。

世の中争いが多い。今、格差。貧乏と生活の格差。
人間が続く限り、そういうものは続く。

ここでは、思索ではない。言葉が素朴、単純。

人間存在の調和がある。

Something there is that doesn’t love a wall,
That sends the frozen-ground-swell under it
And spills the upper bowlders in the sun,
And makes gaps even two can pass abreast.

何かしら,塀を嫌がるものがあって、
その下の凍結した土を盛りあがらせ、
陽がさすと、積み上げた石をばらばらに振り落とし、
二人が並んで通れるほどの隙間を作ってしまう。

岩崎先生は、実際的なアメリカの功利主義、プラグマティズム、good neighborとgood fenceがある。少し ironicな面も。
New England の倫理観。
言おうとしていることのstatementを要約していない。クセ玉を投げている。フロストのクセ。

以上が、岩崎先生のコメント。


私は、この詩は何を言おうとしているのかと、思った。さっぱりわからないという感じだった。
岩崎先生のコメントですっきりした。


(30)“Out, out―”  Robert Frost
「消えろ、消えろ―」 ロバート・フロスト

 

「人生は一瞬の間の燈火」というシェイクスピアのマクベスの、中の、”Out,out, candle!”から、タイトルを取った。
Narrative poem.


少年が大人の仕事をしている。手を切ってしまって、死んだ。人生を終えた。

フロストは、悲劇的出来事を悲劇的に語っている。


オーデンの詩?、ブリュウーゲルのギリシャ神話のタイタロスの息子が、ろうが熔けて落ちた場面の絵。
日常性と悲劇。日常性の中に悲劇を突っ込んでいる。


(31)Stopping by Woods on a Snowy Evening
Robert Frost

雪の夜、森のそばに足をとめて  ロバート・フロスト



フロストの詩で、最も親しまれている作品。
I thinkは、statementを弱める。
New England understatementと呼ぶと、紹介。  overstatement.


言葉で表現されているものと、含意されたもの。
Expression , implication

He will not see me stopping here
To watch his woods fill up with snow.

わたしがこんなところに足を止め、彼の森が
雪でいっぱいになるのを眺めているとは気が付くまい。


ふと日常生活の流れから切り離されて、ぽつんとひとり、村はずれの森を眺めている人時の孤独と静寂。
The darkest eveningは語り手の心境を暗示。


The woods are lovely, dark, and deep,
But I have promises to keep,
And miles to go before I sleep,
And miles to go before I sleep.

森はまことに美しく、暗く、そして深い。
だがわたしにはまだ、果たすべき約束があり、
眠る前に、何マイルもの道のりがある。
眠る前に、何マイルもの道のりがある。



人生。   これから先何年も生きる。
この世には、appointmentしなければならないことがある。

森は、死願望。Angelic sense
ハンドアウトの絵を参考にする。Horse sense馬の感覚。
情景の中の粗野な感覚。馬には分かってもらえない。
4節目は、a kind of angelic sense.

人間は馬と同じレベルの時には、静かな所にいたい。
もう一つレベルの高いangelicに考えれば、生命、自分の人生の使命という馬の予想のつかないものがある。
雪は死の象徴。
ジョイスの短編では、雪は死の象徴。


最後の4行はきれい。フロストの生涯と結び付けて考えた人も。
4節目のリフレイン。
sleepは死。死の安静を暗示。
Woods を使い、 forestではなく、アングロサクソン語。

参加者からこの詩は素晴らしいの声。


本日の詩の講義の感想。
とても一人では読み切れない内容の詩。
講義で解き明かされていく楽しさ。


 瑞穂図書館で、イギリス文学史の本を借りた。「イギリス文学史」平井正穂・海老池俊治  明治書院。
大学1年の時の、石黒心裕先生の、英文学史のテキスト、AN OUTLINE HISTORY OF ENGLISH LITERATURE BY WILLIAM HENRY HUDSON  LONDON G.BELL AND SONS,LTD 1956.を本棚から取り出した。なつかしい。

岩崎先生の講義で、イギリスルネサンス期のコンスタブルのソネットを読んだ。大学で習ったころの英文学史には、どう書いてあるだろうかと思い、調べてみる気になった。イタリアのぺトラルカ・ソネットがイギリスで、ルネサンス期にシェイクスピア・ソネットとか、イギリス・ソネットとして花開いた。

平井正穂の英文学史では、コンスタブルは出てこない。大学時代の英文学史にも出てこない。ただ、シェイクスピアのソネットは出てくる。マイナーの詩人は出てこないのだろう。

岩崎先生が岩波文庫から、「英国ルネサンス恋愛ソネット集」(2013)の翻訳詩集を出している。また、コンスタブルの翻訳詩集、「ソネット集ダイアナ」国文社(2016)を出版した。やはり時代の変化であろう。 コンスタブルの翻訳ソネット詩集が出せる時代になったのだろう。上智大学のミルワード先生が、コンスタブルは、翻訳不可能だと言ったという。



終わり



posted by 花井英男 at 20:43| 文学・芸術

2016年07月19日

中学生・高校生の部活動ー先生たちの大きな負担ー解決策は?

内田良先生(名古屋大学大学院准教授)の提案

こういう大きな問題に関して、どういう解決策をを提案するかについて、教員組合、教育行政の県教委がお互いに交渉、話し合いなどをして解決策を出すのが本来の姿であると思う。

まだそういう段階ではないようだ。いつこの問題が解決の方向にいくのか見通しもない状況だ。

内田良先生のNHKTVとネット上の発言をそのままここに紹介するということをしたいと思います。その発言は次の通り。

 部活動の意義は、生徒に授業以外のスポーツや文化活動の機会を低コストで与えること。それを原点で考えれば、毎日やる必要はない。週4日で十分。ふくらんだものを小さくするという出発点に立つ。実効性のある軽減策が重要。

教員の多忙化が問題視されて、その解消に向けた取り組みが課題。

多忙の一因となっているのが部活動。
文科省・スポーツ庁は、6月に運動部活動に休日を設けることなどの方針を盛り込んだ「学校現場における業務の適正化に向けて」を示した。

「実効性のある取組みが重要だ」と内田先生は述べる。

内田先生の発言は次の通り。

1.中高の部活動の現状は、
この10年で拡大している。中学校に限って言えば、活動の全員参加のところが多い。活動時間、日数も含めて全体的に活動量が多くなり教員の負担感が増している。さらに、土・日曜日を返上して練習したり、遠征や試合の引率ををしている。
ここで必要なことは、部活動の活動時間や日数を減らすこと。

2.例えば、活動日数・活動時間を半分ほどにへらせば、本来の教員の仕事である授業準備に時間を当て生徒と向き合う時間を作ることができる。

積極的に部活動に向き合いたいと思う教員が増えるはずだ。外部指導者を雇用している自治体では指導者確保の予算を削減できる。

3.部活動の意義は、生徒に授業以外のスポーツや文化活動の機会を低コストで与えることだ。毎日やる必要はない。週に4日で十分だ。

4.外部指導員を活用している自治体については

外部指導員は2つの理由で導入された。教員の負担軽減と生徒への専門指導。  外部指導員を活用している学校もあるが、強化選手を育成するために休みなく練習している場合が多い。生徒にとっては負担が増える。

5. 神奈川県の調査では、教員と外部指導員から、理想の部活動時間と日数を聞いた。

「沢山練習して鍛えるべきだ」と生きこんでいる外部指導員が多いのが実態。


6. 日本のスポーツ指導者」は、よりたくさん練習する点に重点を置く。が、スポーツ科学から見ると、休日を設けると怪我がなく、トレーニングが効率化できる。


7. 今後の部活動のあり方について
生徒と教員の問題を分けて考えることが大切。
学校の部活動は最低限の機会を保障すること。それ以上のレベルを望むのであれば、スポーツクラブを運営している民間で、本格的指導をうければよい。
こうした選択肢が出来るよう政府が制度を設計するべきだ。

8. 教員を労働者として見る観点が大切だ。部活動の顧問をしていないと、白い目で見られる。更に、土・日を休むだけで、怠け者とみられる。保護者だけでなく、教員もそういう傾向がある。だから、教員はある意味では、おびえている。
そもそも。部活動は労働者である教員が、勤務とは別に、ボランティアでその指導を負担しているのである。

その原則が保護者や地域では十分理解されていない。


10.文科省が部活動について新たに方針を出した。次のようなもの。
@旧文部省は、平成9年のガイドラインでは、「高校は週1日以上」、「中学は週2日以上」の休日設けるよう、目安を示したが、形骸化している。

A6月に文科省は、実態調査し、休養日数を盛り込んだ指針を29年度内に定めるという。

引用は以上です。























posted by 花井英男 at 15:07| 教育